AIがポーカー対決でプロを凌駕...試合進むほど「心理戦」でも有利に

ロボティア編集部2017年1月20日(金曜日)

 20日間にわたり繰り広げられている、人間と人工知能(AI)のポーカー対決。その“参加者”のうちのひとつ「リブラトゥス(Libratus)」と呼ばれる人工知能システムが、高い能力を披露している。

 今月11日から、米リバースカジノで開催されているポーカー大会「脳vs.人工知能:賭け金を上げろ!(Brains Vs. Artificial Intelligence: Upping the Ante)」には、ポーカーのプロであるドン・キム、ダニエル・マコーレー、ジミー・チュウ氏などが参加。リブラトゥスと「ヘッドアップテキサスホールデム(no-limit heads-up Texas hold'em)」形式で対戦を行っている。

 リブラトゥスは早々に首位となった。初日には持ち金が7万4000ドルをわずかに超え、二日目には倍以上に増加した。開発者であるカーネギーメロン大学のトーマス・サンドホルム(Tuomas Sandholm)教授は、「これは国際的なベッティングサイトサイトで、(リブラトゥスを賭け率)4:1もしくは5:1程度の弱者として予想されていたことを考えれば、非常に素晴らしい結果」とコメントしている。トーナメント7日目、リブラトゥスはリードの幅を広げて、持ち金は合計23万1329ドルに増加した。

 ZKリサーチのアナリストであるゼウス・ケラバラ(Zeus Kerravala)氏は、「ゲームが続けば続くほど、人工知能はより多くの情報を得て、より多くのチップを持っていくように見える」と分析。また「人間の場合、ポーカーは技術、直感的、そして感情の組合せである。一方、人工知能は、学習された情報とデータに基づいている。ポーカーは、他の参加者と一緒にプレイするので、人に対応した人工知能をテストするのに非常に良いゲーム。逆にブラックジャックは、純粋な数字のゲームであるため、『人間対機械』の状況でテストするにはあまり適していない」とも説明した。

 サンドホルム教授も「ポーカーは、機械にとって不完全な情報に基づいて、非常に複雑な決定を下さなければならない状況がある。ブラフ、スロープレーなど、数多くのゲームの技術を持った人間との競争が必要。そのため他のゲームよりも困難」と話している。

 サンドホルム教授らは、リブラトゥス以前に、クラウドディコ(Claudico)という人工知能も開発した。が、こちらは人間との対決では勝てなかった。

 ケラバラ氏は、「コンピュータの欠点が消えたという事実には驚いたが、さらに他の人がどのように試合するか学び、パターンを学ぶことができるようになっている。長い間、私は人工知能が優勝するだろうと期待していた。試合が長く進むほど人工知能のデータは増え、状況は有利になる」と付け加えた。

photo by cmu.edu