人工知能の権威・Jerry Kaplan氏が発言「シンギュラリティーは来ない」

ロボティア編集部2018年9月12日(水曜日)

人工知能の権威であるスタンフォード大学のJerry Kaplan教授は、韓国・KAISTの主催で行われた特別講義「人工知能を再考する」(Artificial Intelligence:Think Again)に登壇。人工知能が飛躍的に発展し人間の知能を超える「特異点」(シンギュラリティ=Singularity)がすぐに訪れることはないとし、それら未来学者たちの主張は「誇張された話」だと指摘した。また、人工知能は未来を明るくさせるものであり、恐怖よりも利活用やより良い世界を作ることについて考えるべきだとした。

Kaplan教授はまず、「人工知能は人間ではないので、人間と同じようには考えない」と指摘。機械的(mechanical)な意味で知能を持つが、その能力はあくまで人間のためにあるとした。また人々が「機械が人間の知能を超える時代」や、「学習方法の発展」を懸念しているが、「ロボットには独立した目標および欲求がない」とし、むしろ人工知能がおよぼす意図しない副作用やそれらに関連する規制の枠組み・基準をつくらなければならないとした。

一方で、人工知能が過度に誇張される原因として、「科学的事実に基づいていない映画やドラマなどエンターテインメント作品の普及」、「事実的根拠なし拡散するメディアの記事」「AI研究プロジェクトに選ばれるための研究者の誇張されたアピール」のみっつを挙げた。

Kaplan教授は、タブレットコンピュータ業界に大きく寄与したシリコンバレーのベテラン企業家だ。いくつかのテック企業を設立し、そのうちのふたつは上場企業となった。Go Corporationを設立しCEOも務めた。また、エキスパートシステム(Expert System)の商業化を牽引。人工知能企業・Teknowledgeを共同創業している。また、1994年には世界初のインターネットオークションサイト「Onsale」を共同設立し、1997年に上場させている。2004年には、急速に成長するソーシャルゲーム業界で企業を設立。8年間CEOを務めた。

現在は、スタンフォード大学法学専門大学院法情報学センター(The Center for Legal Informatics)の研究者であり、同大学工学科の客員教授として講義を活発に行っている。 著書に『Humans Need Not Apply:A Guide to Wealth and Work in the Age of Artificial Intelligence』、『Startup: A Silicon Valley Adventure』などがある。

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