倉庫内の荷物情報を伝える「ドローン×RFIDシステム」…Parrot社製ホビードローンを使用

ロボティア編集部2017年9月8日(金曜日)

 ここ最近、大規模な倉庫内でドローンを活用し、効率的な商品管理を行おうという動きがにわかに活発になりつつある。アマゾンのそれはすでに広く知られているが、昨年には小売大手ウォルマートも米国全土の配送センターでド活用プランを進めていた。

 そんな、倉庫におけるドローン活用が注目を浴びるなか、MITメディアラボのファデル・アディブ(Fadel Adib)氏率いる研究チームが、ドローンにRFID中継器を搭載し、倉庫内のRFIDタグをスキャン・データ転送できるシステムを考案した。

 システムのプロトタイプは、RFIDタグとリーダーを最大50m間隔で配置しても、範囲内のボックスの位置を正確に記録することができるようになっている。逆にもっとも狭い範囲としては、ボックスの位置を19cm以内に指定することもできる。

 通信分野における中継器は、基地局の信号を増幅させ、サービスエリアの端にいるユーザーにも滞りなく信号を届けるための役割を果たす。 MITのグループはそのコンセプトをドローンに採用。倉庫内における効率的な在庫管理・追跡を可能にしようともくろんでいる。アディブ氏は最終的に、情報を相互に伝達しつつ複数のリーダーに提供できる、無人デイジーチェーン(直列連結方式)を想定している。

 現在のテストシステムは、RFIDリーダーからタグへの信号を伝達する単一のドローン装置で構成されている。タグは信号のエネルギーの一部を使用して、電源を供給。信号を再送信する前に、識別子をエンコードする。ドローンはその信号をリーダーに転送。リーダーは、識別子を解読する。

 MITの研究者は、倉庫にあるボックスを把握することに加えて、各ボックスの位置を記録しようとも考えているようだ。アディブ氏は「不足している品目を見つけるために、ドローンを使用できるかどうかが最も気になった点」と述べている。

 同プロジェクトでは、499ドルのParrot社製「ビーバップ2(BEBOP 2)」、12セントのAlien Squiggle RFIDタグが使用されている。 MITの研究チームは初期に、ドローンにRFIDリーダーを直接搭載したが、リーダーがあまりにも重く、ドローンが墜落してしまったことから今回のソリューションを考案した。

 今回つくられた中継器は35g。最も軽いとされるRFIDリーダーの重量500gよりもはるかに軽量だ。なお研究チームは、ドローンバッテリーから中継器に電力を供給しているが、電力消費量は3%ほど。これはドローンの平均飛行時間が30分だとして、2〜3分の時間を消費する形となる。

 今回考案されたシステムは、毎秒最大100個のタグを処理することができる。またカメラベースのシステムとは異なり、タグ自体が正常な可視状態ではなくとも、ボックスを拡大・縮小して記録することができる。

 現段階ではドローンを操縦するオペレーターが必要となっているが、最終的に自律的に作業を完了できるシステムを開発することがアディブ氏の目標だ。今後、マサチューセッツにある小売店と協力し、実際の倉庫でシステムのテストを行う予定としている。

Photo by MIT