【米保険会社】調査10件中4件がドローンに代替…審査短縮が可能に

ロボティア編集部2017年8月10日(木曜日)

 ドローンと人工知能(AI)が「保険会社の職員」を急速に代替しはじめているという分析結果が、米国で発表された。両テクノロジーは、最長で10〜15日かかっていた保険支給までのプロセスを2〜3日に大幅削減。人件費などを含めた保険業界の「高コスト体質」に変化を与えているという。

 ビッグデータ分析企業・LexisNexisが、保険会社の役員を対象に行った世論調査の結果によれば、すでに「自動車保険会社10社のうち4社」が、加入者の被害状況を調査するためにもはや「職員を現場に送らない」と証言しているという。

 これまで、カメラやビデオを携えて現場に向かっていた保険会社の職員を代替しはじめているのは、ドローンと人工知能だ。まずドローンは、事故を起こした車両のある地域、もしくは台風が過ぎ去った後の被害住宅周辺などを飛行して、高解像度の画像を撮影・送信。その後、人工知能が映像情報や各種データを分析する。

 米バーミンガムに住むとある女性は、台風で住宅の屋根が吹き飛ばされる被害に遭ったが、その調査のために保険会社が送ったのは人間ではなくドローンだったという。ドローンは数枚の写真を撮影。その一週間後には、保険会社が修理費を精算し、小切手を送ってきた。予想よりもはるかに早く保険が適用されたことに、女性はとても驚いたという。

 なお保険会社のなかでも特に、「自動車保険」と「住宅保険」が両テクノロジーの恩恵を受けていると米メディアは報じている。例えば、住宅保険会社「レモネード(Lemonade)」は今年1月、ジャケットを紛失した保険加入者が申告した被害救済申請額を、自社が保有するAIを使用しわずか「3秒」で計算し注目を浴びた。レモネードは、保険加入者がアプリを利用して被害状況を記録した写真や動画を送信すると、人工知能が18個の項目で審査をするシステムを構築している。

 そのように、米国では保険金支給申請を処理するのにかかる時間が、大幅に短くなる傾向にあるという。今後、保険審査業務の自動化は、世界的にさらに加速していくのだろうか。

Photo by DroneImagineNation