リクルートテクノロジーズATL・米谷修所長に聞くVR×オープンイノベーションの真意

リクルートテクノロジーズATL・米谷修所長に聞くVR×オープンイノベーションの真意

Written by 河鐘基

Posted date:2017.09.27

-ATLでは現在、他にどうようなテクノロジーを研究・開発されているのでしょうか

 いろいろやっていますが、最近では「IoT」という文脈で「スマートキー」なんかも開発・販売しています。もともとスマートキー開発は、不動産仲介業者の方の仕事を効率化できないかという発想から着手しました。不動産仲介業者の方が大家さんに鍵を借りて、内覧希望者に同行・開錠し、鍵を返すという作業は非常に時間を消費する業務だった。業務時間ベースで計算すると、おおよそ5割ほどの時間をその作業に割いてらっしゃる方々もいます。そこで、スマートフォンなどを使って遠隔かつセキュアに鍵の開け・閉めができるスマートキー研究を始めることになりました。

 当初、スマートキーは商品化を念頭に置いていませんでしたが、大東建託さんの方で実際に使いたいとの要望があり、現場での検証や改修を重ねて販売を開始することになりました。スマートキーを使えば、不動産の状況をモニタリングすることも可能となります。具体的には「閉め忘れ」などを解決できますし、民泊など他の不動産サービスにおいても需要がかなり出てくるのではないかと考えています。

-先に実用化を考えず、結果としてスマートキーが商品になったというのは、ATLらしいエピソードですね。

 我々が何かを発信して、それをクライアントさんが見つけてくれる。そして、より豊かな実用化につながるという流れは理想的ですね。ただそのようなR&Dの展開は“ロジック”じゃない側面があります。企業や社員の信念、もしくは“信頼感の連鎖”がないと成立が難しいでしょう。現場で一生懸命つくっていても、マネジメント側の理解がなく、費用や対投資効果を短期的に厳しく問いただされてしまえば一瞬で終わってしまいますので。一定の予算や時間を信頼のもと社員に託すことを“是”としているリクルートの社風、そしてトップの意思は非常に貴重なものだと思います。

-米谷所長ご自身は、テクノロジーについて何か特別な思い入れはありますか?

 僕が現場で働いていた20代の頃、クライアントや同僚が課題解決にものすごく喜んでくれたという原体験があります。徹夜仕事続きだったのに、おかげで楽になったみたいな話をしてもらえることがうれしくて、徐々に自動化に快感を覚えるようになりました(笑)。実はリクルート内では今でも、自動化による作業効率化を促すプロジェクトが数多く展開されています。AIによるアタック原稿(クライアントへの提案時に営業マンが渡す仮原稿)の自動作成・校閲、類似ネイル画像のレコメンド、スマホで撮影した画像から車種を自動判別などはほんの一例です。最近では、RPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)にも取り組んでいます。

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