中国はAI分野の世界的リーダーになれるか...産業勃興の背景とリスク

ロボティア編集部
ロボティア編集部

 中国におけるAI研究・開発の勃興には、政府次元の後押しが著しく影響している。 「人工知能2030」、「メイド・イン・チャイナ2025」、「インターネット+人工知能3カ年計画」、「次世代人工知能開発計画」のような政策が、その代表例だ。

 2017年3月には、両会(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議のふたつの会議を総称した名称)の政府業務報告に、AIの重要性がこれでもかというほど強調されていた。続く7月には、AI発展プロジェクトが国家級戦略に格上げ。AI産業について、今後10年間にわたり中国経済を牽引するであろう“核心エンジン”に指定している。加えて、中国国務院は小・中・高校教育の過程で、人工知能コースを新設する必要があるとも強調している。

 さらに中国政府は、各地域のAIスタートアップに各種優遇政策、および財政的なインセンティブを提供している。政府の優遇政策に支えられ、バイドゥー、アリババ、テンセントのような大手IT企業はもちろん、Megvii、iCarbonX、Mobvoi、SenseTimeなどスタートアップ、ディディチューシン、シャオミのような「ユニコーン企業」が、積極的にAI技術に研究・投資している。ゴールドマン・サックスのレポートによれば、中国のAI関連企業はすでに700以上にのぼるという。

 バイドゥーの場合、人間よりも高い音声認識精度を誇る最先端ニューラルネットワークベースの機械翻訳システムを開発。また、自動走行ソリューションプロジェクト「アポロ(Project Apollo)」のオープンソース・プラットフォームを発表している。過去2年間、バイドゥーがAI分野に投資した金額は200億元に迫る。人材を抱えるという点においても抜かりがない。機械学習人材の給与は約22万ドルで、これはフェイスブック(27万3000ドル)、マイクロソフト(24万4000ドル)に次ぐ世界第3位の水準だ。現在、バイドゥーで働くAIエンジニアは2000人を上回るという。

 一方、テンセントは「コンテンツAI」「ソーシャルAI」「ゲームAI」に焦点を合わせて、世界トップクラスの科学者、研究者、専門家50名を招聘。独自のAIラボ(Tencent AI Lab)を設立している。その場所で開発された人工知能「Fine Art(絶芸)」は、2017年の初め、日本のプロ棋士・一力遼7段を撃破。世界人工知能囲碁大会でも優勝している。

 2017年にMITテクノロジーレビューが選定した「スマートな企業上位50位」で11位を占めたMegviiは、コンピュータビジョンに特化したスタートアップだ。同社の顔認識製品「Face ++」は、これまで1億以上の顔を認識・区別している。