海外各メディアによれば、先週、中国政府はビットコイン採掘を全面禁止した。中国政府は、各地方当局に通達した公文書のなかで、暗号通貨採掘業者の「秩序ある撤退」を要求。ただ期限は定めなかった。
中国は、ビットコイン採掘業者にとっては天国だった。全世界のビットコイン採掘の約80%が中国で行われてきた。賃金と地価が安いうえ、電気料金も先進国より安いからだ。なお中国の電気料金が上昇中だが、過去一年間、ビットコインの価格が高騰したため、採掘者にとってはまだ採算が合う水準とされてきた。
ただ、中国は仮想通貨の匿名性が高く、犯罪に悪用されたり、金融の安定性を害するとして取り締まりを強化している。中国人民銀行(PBOC)は、仮想通貨の取り締まりのために、ビットコインタスクフォースも結成している。
そのため、ビットコイン採掘業者はより良い環境を求めて、中国を脱出し始めている。中国でニ番目に大きい規模の採掘企業であるビットマイン(Bitmain)は、シンガポールに移転する計画を発表した。第三の規模を持つBTC.Topは、カナダに移転する計画だ。四番目の企業であるViaBTCは、すでに米国とアイスランドで採掘場を運営している。
そのように、中国の採掘業者が海外脱出を図ることで、反射利益を得ている国もある。インドだ。インド政府は、中国を離れたビットコイン採掘者たち引き入れるため素早く動きだしているという。
インドメディア・DNAインディアによると、インド政府官僚は国内に採掘エリアを建設するために、主要な採掘業者に連絡を取ったそうだ。採掘を行っているとあるコンピュータエンジニアはメディア取材に答え、「数日間(インド政府から)何度か提案を受けた」とし「インドで採掘事業を行うことができる機会だと考えている」と述べている。そして「インド政府から、仮想通貨事業関連のガイドラインが伝えられることを待っている」とした。
インド政府は、仮想通貨市場を監督するため、新しい規制を施行しようとしている。インドメディア・ヒンドゥスタンタイムズによれば、政府官僚は主要な問題がふたつあると考えているそうだ。まず、仮想通貨の売買に使われる資金の出所を明らかにさせること、そして、インドの取引所が投資家を十分に保護できるようにすることだ。
インドは中国より電気代が安いという長所がある。ドイツの市場調査会社Statistaによれば、昨年の時点でインドの電気代はkW / hあたり8セントで、中国の9セントよりも安かった。一方、先進国の電気代はインドの約3倍の水準だ。
インドの他の国々も、採掘業者を手招きして待っているという。仮想通貨スタートアップ企業BFXコインによれば、いくつかの国では、採掘事業者に電気を無料で提供しつつ、税制優遇を与え、さらには市民権まで与える条件に、自国に採掘場を開くことを提案してきた事例もあるという。なお BFXコインは、インドで採掘場を構えることを決めたと報じられている。
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