「中国当局が仮想通貨の取引を全面的に取り締まる」というフェイクニュースが流布。その詳細について、サウスチャイナモーニングポストなど中華系メディアが報じた。
報道によると、今回のフェイクニュース(メール)は米メディアに対して送られたもので、中国の中央銀行である人民銀行(PBOC)と、香港金融管理局(HKMA)の名義で文書が作成されていたという。メールには「人民銀行と香港金融管理局が、ビットコインを含むすべての仮想通貨のサービスおよび活動を全面的に取り締まる」「取り締まり対象は、投資家、採掘者、取引プラットフォームなど関連するすべての個人と機関」と書かれており、人民銀行の副頭取である潘功勝氏の主管で、14日にも規制案が発表される予定だとされていた。
メールは、人民銀行が実際に使用しているメールアドレス「@ pbc.gov.cn」で送られていたが、偽物であることが後に明らかになった。またメールは、中国の安徽省合肥にある市人民銀行の支店担当者から送られたものだが、担当者は送信しておらず、ハッキングを受けたとしている。人民銀行と香港金融管理局も、関連事実を否認している状況だ。
香港ビットコイン協会のレオンハード・ウィーズ会長は、同フェイクニュースについて、通貨価格の暴落から利益を得ようとする勢力が流布したものと推定している。先物市場でビットコインなどを事前に売却した後、中国当局が仮想通貨を取り締まるというフェイクニュースを広め、価格が暴落した時点で再度購入し差益を狙うものだという。
ウィーズ会長は「参入障壁が低く未成熟な市場、特にデイトレーダーが多い市場では、このような手法が効力を発揮しやすい」と所見を述べている。
フェイクニュース流布による仮想通貨価格の乱高下は、昨年にも相次だ。6月には、仮想通貨「イーサリウム」の開発者が死亡したというフェイクニュースが拡散し、通貨価格が急落した。また、世界最大のEC企業アマゾンがビットコインを決済手段として認めるというフェイクニュースが流れた際には、ビットコインの価格が急騰している。
Photo by bfishadow(via flickr)