2018年の春節。「スマート中国」の姿は、その帰省風景にもくっきりと表れはじめている。
2月3日、新華社や中新網など中国国内メディアが報じたところによると、中国の主要な駅では、春節の連休特別交通期間に、「顔認識改札」「微信情報検索」「乗車券のモバイル決済」などのスマートサービスを実施。29億8000万人の移動を円滑に進めようとしている。
山西省太原駅では、サービスロボットがベッド車両の待合室で勤務を開始した。同ロボットは、自動顔認識および応答機能を搭載している。乗客の質問を収集・分析し、列車乗務員の業務を軽減させているという。
北京駅では、スマートフォンのBluetoothをオンにして、微信のシェイク機能でサービスページを開くと、待合室の位置、列車の運行状況・忘れ物検索、車いすの貸出サービスの詳細などを確認することができる。
中国の駅の乗組員が最も多く受ける質問は、待合室の場所に関するものだそうだ。というのも、列車によって待合室の場所が異なるからだ。その次に多いのが、荷物配送方法と車椅子のレンタルサービスの詳細だ。微信サービスページで待合室案内を押すと、乗客が利用できる待合室の位置や最短距離が案内される。
北京西駅は、乗客が駅に入場する時間を短縮させるため、2017年から顔認識サービスを導入した。乗車券に印刷されたQRコードと身分証明書を重ね改札機に入れ、顔面認識エンジンに向かって立つと、緑色のランプが点灯し改札が開く。乗組員と安全要員がいちいち身分証明書や乗車券を確認する必要がなくなった。北京西駅は今年、17個の改札口に顔認識機能を設置した。
機内食のインターネット予約、高速鉄道の座席選択、乗車券の購入時などでは、モバイル決済が日常化した。北京・上海・天津・南京など全国27の主要な高速鉄道駅では、機内食インターネットサービスが実施され、各地方のご当地弁当が提供されている。日本が誇ってきた駅弁文化が、中国ではフィンテックやスマート決済とともに姿を現しつつある。
今年の春運期間の乗車券購入の70〜80%が、インターネットを通じて行われており、インターネット販売サイト「12306」では、一日最高1000万枚の乗車券が販売されたという。今後、乗客が長い列をつくる中国の春節の風景は、スマート化とともに徐々に消えていくと予想されている。