今年4月、コンサルティング企業であるアクセンチュア株式会社による、グローバルフィンテック投資に関するトレンドを分析したレポート「Fintech and the Evolving Landscape」が公開された。レポートによると、世界における2015年のフィンテック投資額は前年比75%増となる、およそ223億ドル(約2兆2755億円)にのぼると集計されている。
そのうち最も大きなフィンテック市場である、カナダ・アメリカの北米地域は前年より44%増加した148億ドル(約1兆5102億円)の投資額を記録した。なかでもアメリカは投資案件数で前年より16%増加しており、総計667件の投資が行われ、引き続き市場をリードしている。
一方、とりわけフィンテック投資額が大きく増加したのは欧州とアジア太平洋諸国だ。 昨年のフィンテック投資は前年比より120%増加しており、投資案件数も51%増えている。ドイツにいたっては、前年比より843%増加した、7億7700万ドル(約792億8500万円)を記録している。
アジア太平洋諸国においては4倍以上の成長を遂げ、投資額は総計43億ドル(約4387億7500万円)に達している。このうちの大部分は中国とインドが占めており、中国が445%増加の19億7000万ドル(約2010億2000万円)、インドが16億5000万ドル(約1683億6700万円)となっている。
加えて、世界的な投資案件数も大幅に増加した。5000万ドル(約51億円)以上である大規模な投資案件は、2013年には15件に過ぎなかったものの、2014年には62件、2015年には94件と、2年の間に6倍にもなっている。ところが、フィンテック企業に対する投資は年々増加しているにもかかわらず、銀行自身による投資は相対的に少ないこともわかっている。 2015年の場合、全体投資額の223億ドルのうち、銀行から投資された金額は5億ドル(約510億2000万円)に過ぎなかった。
銀行は外部のフィンテック企業よりも、子会社など内部への投資に積極的だ。銀行によるフィンテック関連の内部投資額は500億ドル(約5兆1020億4000万円)から700億ドル(約7兆1428億5700万円)と推定されている。
一方で、2015年に日本のフィンテック企業に対する投資金額は6500万ドル(約66億3200万円)となっており、122億1000万ドル(約1兆2459億1800万円)に達するアメリカの0.5%水準にとどまった。 アジア地域では中国のわずか30分の1、インドの25分の1と大きく遅れをとっている。
2016年第1~3四半期、世界投資額は53億ドル(約5408億1600万円)と集計された。 昨年同期と比較すれば、6%増加している。このうち、アジアが半分程度を占めたが、日本での投資はなかったとされている。
日本経済新聞は、日本のフィンテック関連企業が数と規模の面で劣っており、小規模な投資が行われていることがフィンテック投資の活性化を妨げている原因だと分析した。日本金融庁は来年、銀行法改正案施行で銀行がフィンテック企業に出資できるよう、幅を広げ、世界との差を縮めていく計画だ。