中国の人工知能(AI)関連ベンチャー企業が、米ベンチャー企業より多くの資金を調達しているとの統計が発表された。中国AI関連ベンチャーは、企業数でも米国に迫っており、研究・開発分野の覇権が移っていくのではないかとの分析も出始めている。
2月20日、調査企業CBインサイトは、2017年に世界のAIベンチャー企業が調達した資金を総額125億ドルと見積もった。そして、そのうち中国AIベンチャーが調達した割合が48%、米国が38%だったと報告した。
米国のベンチャー企業が、資金調達額で中国に遅れをとったのは今回が初めてだ。2016年時点では中国AIベンチャー企業が調達した金額の割合は11.3%に過ぎなかった、大きな進展がみられる。
米AI関連ベンチャーの数と総資産はいまだ中国よりも多いが、市場シェアは低下傾向にある。2013年度には77%のシェアを占めていたが、2017年には50%まで低下している。
市場関係者は、中国が政府レベルでAI産業を育成しており、米国の競争力が相対的に失われていると分析している。MITテクノロジーレビューは、「中国政府は人工知能分野にオールインしているが、アメリカ政府は同産業を支援するための努力をほとんど払っていない(中略)中国のベンチャー企業の成功は、米国がAI分野で中国に遅れを取り始めている信号」と指摘している。英フィナンシャル・タイムズも「中国は人工知能に創業資金募金額を米国より多く集めた」とし「中国がAIの覇権を握るための最初の戦争で、第一歩を踏み出した」としている。
なおAIベンチャーに対する投資額は全体的に増えている。2017年の投資額は、2016年に比べ141%増加し、ベンチャー企業数も1100社増えた。
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