中国EC大手アリババの系列社・アリババクラウドが、農業企業Hishengと協力して「AIリンゴ栽培」を開始した。Hishengは、山西省にあるリンゴ栽培農場を運営する企業だ。
AIリンゴ栽培が行われている農場では、すべてのリンゴの木の横にQRコード機器が設置されている。そのデバイスのQRコードをスキャンすると、各樹木の水分、肥料、農薬散布履歴などを知ることができる。それらデータはすべて、アリババクラウドのシステム「ET農業ブレイン」に連携・保存されている。
アリババはビックデータやAI、また観測システムを使った方法を使用することで、常にアナログ的に生育状態を記録してきた低効率なリンゴ栽培手法を脱却できると考えている。リンゴ栽培の過程ではドローンを利用した撮影も行い、各リンゴの木の生育状況を分析している。
Hishengグループは、アリババのAIリンゴ栽培ソリューションを導入した後、年間2000万元(約3億4000万円)のコストを削減できるものと評価している。アリババクラウド側は、AIがすでに交通などさまざまな産業に適用されているとしたうえで、技術要求度が高い農業市場での市場潜在力も大きいと指摘。農業市場へのAI浸透率がまだまだ低い状況も併せて強調している。
中国国家統計局のデータによれば、昨年、中国農林畜産業の生産額10兆元(約170兆円)を突破しさらに成長する兆しをみせている。人工知能を農業に普及させようとしているアリババクラウドは、すでにEQU GROUPと提携し、「AI豚」の繁殖も行っている。これは、豚の品種、重量、餌の状況などデータを、すべてシステムで管理・分析するというもの。また音声認識技術や赤外線検査技術を組み合わせ、豚の体温および声データから疾患も把握するよう努めている。
今後、農業や畜産業において、どのような人工知能の実用例が登場するか注目だ。
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Tom Swinnen (via pexels.com)