米国人の過半数が、移民や海外への工場移転よりも、人工知能(AI)が雇用の脅威になると感じているとの事実が世論調査で分かった。調査を行ったのは、米ノースイースタン大学と世論調査企業ギャラップ。調査時期は2017年10月。米国成人男女3297人が対象だ。
調査の結果、米国人の58%が、今後10年間で自分の仕事を脅かすことになる最大の要因はロボットと人工知能と答えたという。一方、これまで最大の“脅威”とみなされていた「移民および海外への工場移転」と回答した割合は42%に過ぎなかった。
支持する政党によっても意見が分かれた。民主党支持者のうち67%は、AIを雇用の最大の脅威であるとしたが、共和党を支持する回答者52%が移民と海外への工場移転を最大の脅威と答えている。
なお調査対象者の73%は、「AIによって雇用が創出されるより、人間の仕事が消える可能性が高い」と感じているという。加えて、同調査では米国人の6人中5人が、人工知能を搭載した6つの製品群の中でひとつ以上を使用していることも分かった。
グーグルマップやWazeのようなナビゲーションアプリを使用している人は84%、Netflix、Huluなどストリーミング音楽・動画サービスを利用している人は72%、SiriのようなスマホAIアシスタントを使用している人は47%、Uberのようなカーシェアアプリユーザーは32%、アマゾンエコーやグーグルホームなど家庭用AIアシスタントを使用している人は22%、スマートホーム機器を使用している人は20%であった。
特に大卒以上の学歴保有者や20〜30代の若い年齢層では、その比率が相対的に高かったと報告書は伝えている。例えば、ストリーミング音楽サービスの場合、18~35歳の調査対象者は91%が利用する答えたが、36~50代の調査対象者は84%、51~65歳の調査対象者は63%と割合が低下した。
ギャラップ首席研究員であるフランク・ニューポート氏は、「自分たちが自覚しているか否かに関わらず、AIはすでに米国人の生活に浸透し大きな割合を占めている」とし「米国人はAIの将来について肯定的に考えているが、それによる仕事の損失は大きく懸念している」と説明した。