ロボットや人工知能の発展が、人間の仕事を代替するという議論が浮上するなか、IT系のビジネス人材の紹介を主な事業とする英企業・ハーベイナッシュ(Harvey Nash)が、84カ国3245人の技術者を対象にアンケート調査を実施。「ハーベイナッシュテックサーベイ2017」(Harvey Nash Technology Survey 2017)というレポートを発表した。
アンケートによれば、技術者の約半数である45%が、10年以内(2027年までに)に「自分の仕事も自動化する」と予測したという。また、94%の回答者が「自分が持っている現在の専門知識が役に立たなくなる」と予想した。回答者たちの多くは、技術の変化がますます速くなり、新しい技術を習得しなければ、仕事を続けていくことに支障をきたすだろうとしている。
技術者たちは、自動化への対応策として、他のキャリアを築くことではなく、学習を優先するとした。その学習方法は、正式なカリキュラムに沿った教育や資格取得ではなく、独学をより重要視する傾向があった。カリキュラムを通じた再教育を対応策として挙げた割合はわずか12%、資格取得を最優先に挙げた割合は27%にしか過ぎなかった。
アンケートの分析を牽引したハーベイナッシュのデビッド・サベージ(David Savage)副所長は、「自動化を経て、10年後には現在の用語では理解できないものごとが登場するかもしれない。 2027年になれば、ともに働く仲間の半分は機械に代替される可能性がある」と述べている。
技術者たちは、今後5年間で最も成長すると技術として、人工知能(89%)、拡張現実(88%)、バーチャルリアリティ(86%)、ロボット(86%)、ウェアラブル技術(80%)などを挙げた。
ちなみに企業のヘッドハンティング対象としては、ソフトウェアエンジニアが人気となった。続いてアナリスト/ビッグデータの専門家が後に続いた。同時に、回答者の75%は採用の焦点が「過度に技術的な側面に偏っていて良い人材を逃している」とも指摘した。
専門家らは一方で、クラウドサービスに対して強い不信感を示した。クラウドサービス企業の個人データの取り扱いについて、10人のうち4人の割合で「信頼をしていない」と答えている。なおレポートは「クラウドへの不信は年齢が多い人ほど、より大きかった」と指摘している。
ハーベイナッシュのサイモン・ヒンドル(Simon Hindle)代表は「技術職は流動的である。一方では、技術がコモディティ化=汎用化、自動化しながら技術が技術を呑みこむ現象が現れ始めている。一方で、新たな機会も創出されている。特に人工知能、ビッグデータ、自動化の分野がそれにあたる。この急速に変化する世界で勝者になるのは、ユニークな器量を発揮して、他人や機械にはない価値をどこで発揮するか、絶えず自身に問いかける人々」とコメントしている。
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