ミツバチの動きを分析し「ハチ型ロボット」を開発する研究が進められている。独・ベルリン自由大学(Free University of Berlin)の研究者は、ミツバチが餌を探す際に互いに情報を伝える動きを模倣した、ハチ型ロボット「RoboBee」を開発した。
同大学のマシンラーニング・アンド・ロボット・フォー・ダーレムセンターに所属するチTim Landgraf氏は、「ミツバチは暗い巣の中で行われる動き“ミツバチのダンス”で、新たに発見した餌の位置を仲間に伝えている(中略)その動きに関心を持った周囲のハチは、ダンスを解読し、新たな餌の場所に到達する方法を知る」と説明している。なお、8の字型に歩き回る蜜蜂のダンスは、「waggle dance」とも呼ばれている。
研究チームは、ミツバチの行動プロセスをより深く理解するために、さまざまなコンポーネントで構成された蜂ロボットをつくった。ハチ型ロボットは、実際のミツバチのサイズの柔らかいスポンジが付いた棒の形をしており、ダンスを模倣することで、他のバチに食品サンプルを提供することに成功したという。
Landgraf氏は、ロボットを活用してミツバチとコミュニケーションを取るアイデアが過去数十年間にわたり議論されてきたが、ミツバチがロボットのメッセージを正常に解読できるという事実を証明できた例は初めてと、その研究成果を強調している。
もちろん、研究はまだ完ぺきではない。群れのなかのすべてのバチがロボットの動きに興味を示すわけではないという。Landgraf氏は、「ロボットがダンスと関連する信号を再現する際にずれがあったり、ミツバチを妨害する不必要な刺激を引き起こすケースがある」と、課題について説明している。言い換えれば、研究成果としてはまだ、少数のバチがロボットの動きを感知しているという実情があり、人間側のミツバチのダンスへの理解がいまだ不完全ということになりそうだ。
研究者チームは今後、蜜蜂全体のライフサイクルを追跡する「ビーズブック」(BeesBook)という別のプロジェクトで、今回の研究結果を活用していく計画だ。なおLandgraf氏は、養蜂家に対してシステムや研究成果を販売するなど「商用化は考えていない」としているが、“ミツバチのダンス”のロボットで再現しようという研究コンセプトは、非常にユニークかつ重要であり続けるだろう。生物の意思を理解したり、その健康状態を自動で評価することで、地球の環境をより豊かにする可能性が秘めているからだ。関連研究の未来が楽しみだ。
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