5月初旬、ツイッターは祝福モードに包まれた。ツイッターの対応言語に、スワヒリ語が新たに加わったという。
結論から言うと、それはとんだフェイクニュースである。2018年5月末現在、ツイッターの対応言語にスワヒリ語は含まれていない。
ツイッター民はスワヒリ語の現状を皮肉り、「#TwitterRecognizeSwahili(ツイッターはスワヒリ語を認識する)」「#SwahilisNotIndonesian(スワヒリ語はインドネシア語ではない)」といったハッシュタグ付きツイートを拡散。キャンペーン参加者の面々には、ツイッターアカウントを保有する個人のみならず、公式アカウントも見受けられた。
ツイッターがサポートしている言語は、英語、アラビア語、ベンガル語、チェコ語、デンマーク語、ドイツ語、ギリシャ語、スペイン語、ペルシャ語、フィンランド語、フィリピン語、フランス語、ヘブライ語、ヒンディー語、ハンガリー語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、マレー語、オランダ語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、スウェーデン語、タイ語、トルコ語、ウクライナ語、ウルドゥー語、ベトナム語、中国語(簡体字、繁体字)の34言語だ。上記のリストを見て分かるように、スワヒリ語に限らず、アフリカ諸言語自体が未対応の状況だ。
スワヒリ語は東アフリカを中心に広く話されている言語であり、タンザニアやケニア、ウガンダでは公用語に指定されている。アフリカ諸国は長年奴隷貿易を強いられてきた。その歴史的背景もあり、欧州諸国による統治以降、現地語であるスワヒリ語への思いが強まっている。今や、スワヒリ語は国民意識の形成をはじめ、政治や経済、教育などあらゆる場面において有意な役割を担っている。
さて、ソーシャルメディアにおけるスワヒリ語のサポート状況が気になるところだ。ツイッターの対極的存在であり、ソーシャルメディアの代表格であるフェイスブック社は、ソマリア語やアフリカーンス語、ハウサ語などのアフリカ諸言語の単語やフレーズを認識する。
さらに、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「ペッパー(Pepper)」は、対応言語にスワヒリ語を追加済みである。4月下旬、米ワシントンD.C.にあるスミソニアン協会の博物館に、スワヒリ語を来場者の言語に翻訳するロボット学芸員として配置されたばかりだ。
グーグル翻訳やMicrosoft Translatorもまたスワヒリ語に対応している。
紛争、経済停滞、飢え、感染症、貧困など、アフリカが直面する問題は山積みだ。アフリカに内在する様々な社会問題を表面化するためにも、最低限の言語インフラを構築する必要があると言える。その点で、ソーシャルメディアの多言語化が果たす役割は大きいと言える。
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