ブロックチェーンを使った遺伝子データ流通プロジェクトが続々…ゲノム情報を安全に運用可能か

ロボティア編集部2018年6月13日(水曜日)

ブロックチェーン技術を使って、ゲノム(全遺伝情報)、遺伝子データなど医療の発展に役立つデータを保護・流通させるプロジェクトが相次いで始まっている。

ドイツに拠点を構えるスタートアップ・Shivomは、3月末、インドのアーンドラ・プラデーシュ州とパートナーシップを締結した。同州には現在、6000万人の住民が居住しており、州政府は2025年までにすべての住民の遺伝子を分析していく計画だ。Shivomは住民の遺伝子データを保護するため、ブロックチェーン技術を使って暗号化されたデータを保存した後、指定されたユーザーのみ利用できるようにする計画。同時に、トランザクションコストを削減していく目標を掲げている。Shivomはまた、エストニア前総理・ターヴィ・ロイヴァス氏、欧州議会議員アンタナス・グオガ氏ら影響力のある人々が同社を支援するため、「Shivom革新委員会」に加入したと発表している。

一方、イスラエルに拠点を構えるスタートアップ・DNATixは、膨大な量のDNAデータを安全かつ匿名で、ブロックチェーンで転送する方法を模索している。

同社は今年の初め、「Enterobacteria phage phiX174 sensu lato」というウイルスの塩基配列全体を、ブロックチェーンにアップロードすることに成功したのに続き、4月にはDNAの塩基配列をブロックチェーンに移すためのコンセプト実証試験(Proof of Concept)に成功したと明かしている。 DNAtix側によると、これまでDNA塩基配列データのサイズが大きすぎたため、現在のブロックチェーン技術では効率的にサポートすることが難しかったが、今回、はじめて概念実証試験に成功したという。

DNATixは独自のDNA圧縮アルゴリズムを開発し、DNA塩基配列のサイズを75%減らした。現在、サイズ99%減少させることを目標にアルゴリズム改善を行っている。

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