中国AI論文数&被引用数は世界一位なれど優秀人材は不足...「中国人工知能発展報告書2018」

ロボティア編集部2018年8月9日(木曜日)

中国・清華大学が発表した「中国人工知能発展報告書2018」によれば、人工知能に関する論文総数と被引用数で中国が世界1位を占めたという。一方、優秀な人材の割合はやや低いとされた。

報告書は、清華大学、中国科学政策研究センター、清華公共管理学部政府文献センター、調査会社・科睿唯安(クラリベート)、中国情報通信研究院などが共同で発表したもの。 IT産業への人材投入状況、産業発展および市場状況、アプリケーション、社会的認知および総合力などの面から調査が行われた。

報告書によれば、中国で発表された人工知能領域の論文総数は全世界の27.68%を占めた。特許申請でも、中国は人工知能の特許を世界で最も多く申請し、米国、日本を上回った。なお、中国と米国、日本が公開した特許数は全体の74%を占めたという。

人材面では、昨年まで中国AI人材数は1万8232人であり、世界の総人材数の8.9%を占めた。これは米国(13.9%)に続き2位。ただし、優秀な人材という観点からは、中国人材数は977人となり、米国の5分の1に過ぎず世界6位となった。人材投入面においてHuawei社は世界20位圏に入った。また世界のAI人材は、主にマシンラーニング、データ抽出とモデル認識などの分野に集中していることが指摘された。

企業規模では、中国のAI企業数は世界第2位。北京は人工知能関連の企業が最も集中している都市とされた。今年6月までに中国のAI企業数は1011社で、こちらも米国(2028社)に続く形となった。そのうち北京には、395社のAI企業が拠点を構えている。

分野としては、コンピュータビジョンの市場規模が最も大きいことが分かった。昨年、中国のAI市場規模は237億元(約3848億円)であり前年比67%成長を記録した。そのうち、コンピュータビジョンの市場規模は34.9%を占めた。今年、中国の人工知能市場規模は約75%成長すると見込まれている。

商品アプリケーション面では、中国ではすでに医療、金融、教育、防犯など様々な分野に人工知能が適用されている。音声や言語認識などの商品が成熟しつつある状況である。アリババとシャオミのスマートAIスピーカーが世界3〜4位を占めており、昨年、中国のロボットは世界232億ドルのロボット市場のうち27%を占めている。

報告書は、中国の人工知能産業の発展が世界的リーダーレベルに達しているが、品質の面ではまだ課題が多いと指摘。今後、知的財産権を強化しながら、人工知能とエネルギーシステムを結合し、産学研連携を通じたアプリケーション化に力を注ぐべきだと結論している。

参照サイト