愛を“可視化”し”富”が増える…ブロックチェーン時代の結婚・恋愛のカタチ

前出の浜田氏も、結婚にブロックチェーンでインセンティブを与えていく仕組みづくりは、企業など民間の努力によって「充分に可能だ」と同意している。

「僕自身は、ブロックチェーンを使って、愛の関係性を増やしていくという視点は、社会の理にかなっていると思います。国がトップダウンで愛に対する価値観と経済をつくるのではなくて、人々が大事だと思う愛の価値観と経済がボトムアップで生まれてくるイメージです。さらに言えば、ブロックチェーン上の結婚関係や経済が社会的に受けいれられ“普通のこと”になれば、なかなか変化しづらい既存の結婚制度の方が人々の動きを包摂しようとするはずです。下から権威の在り方を変えていくことで、LGBTの方々などの結婚が正式に認められる日がくる。そういうダイナミズムが、ブロックチェーンが結婚制度にもたらす変化ではないでしょうか」(藤井氏)

藤井氏は、ブロックチェーンに愛を刻んだカップルが、愛のある行動を取ればトークンをもらえるというような仕組みも面白いと話す。大事だけれど儲からない。そんな事柄に価値を生むのがブロックチェーンの神髄だからだ。

「いまの世の中は、無意識のうちに「愛」がないがしろにされていく感があります。なぜかというと、愛を大切にしても儲からないし、物理的に豊かにならないから。ですが、我々が幸せを感じるためには愛は絶対的に必要ですし、ブロックチェーンは今の資本主義経済の基準では価値が認められにくいことに価値を与え、トークンとして循環させることができます。SoulGemの開発はひとつのメッセージ。今後はさらに一歩進んで、愛を育んだ方が幸せになれるトークンエコノミーをつくっていきたいと考えています」

余談だが、ブロックチェーン業界では、離婚に備えたプラットフォームサービスも登場し始めている。ロシアのMyWishというサービスは、プラットフォーム内にカップルの資産を共同で貯蓄しておくと、離婚の承認とともに自動に分割・送金される機能が搭載されている。またカップルが死亡した際、子供たちに資産が自動で移動する機能もある。

前述した通り、結婚とブロックチェーンを掛け合わせる取り組みは、ここ数年、始まったばかりだ。しかしながら、その動向に反応する人々は決して少なくない。裏を返せば、世界的に結婚という問題に悩まされているカップルがたくさんいるということの証明でもあるだろう。今後、国の制度が発行するインセンティブに依存することなく、より自由な愛の関係性を広めるツールのひとつとして、ブロックチェーンは大いに活用されていくはずである。

本原稿は「月刊サイゾー2018年8月号」にて掲載された内容です

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。