「クルエルティフリー化粧品」拡大…先端テクノロジーがもたらす、動物実験がなくなる日

ロボティア編集部
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クルエルティフリーが世の趨勢となるなか、動物実験をせずとも化粧品の安全性を担保できるようにするテクノロジーの開発が進められている。最近では、米ジョンズ・ホプキンス大学のThomas Hartung教授ら研究チームが、ビッグデータと機械学習(マシンラーニング)を使って、動物実験なしに化学物質の毒性を予測できるシステムを開発したとして話題となった。同研究結果は、今年7月にジャーナル誌『Toxicological Sciences』に掲載された。

研究チームは、「RASAR」(Read-Across Structure Activity Relationship)という人工知能アルゴリズムに、約1万の化学物質に関する86件の動物実験の結果を学習させたのち、化学物質が人体におよぼす毒性の程度を予測できるようにした。結果、RASARは87%の精度で人体への影響を予測することに成功したという。これは動物実験の精度81%よりも高い数値だ。Hartung教授は、RASARを使えば従来の動物実験よりも正確かつ多様な毒性予測が可能だとし、すぐにでも人工知能が動物実験を代替できると自信をのぞかせている。

人工知能やビックデータを使って化学物質の毒性を見抜く研究は、今後、一層加速していくだろう。というのも人体に、より直接的な影響を及ぼす医薬品の開発にも人工知能が使われるケースが増えているからだ。

たとえば、米シリコンバレーに拠点を構える創薬AIスタートアップ・TwoXARは、スタンフォード大学、シカゴ大、ニューヨーク・マウントサイナイ病院、参天製薬の米国子会社・サンテンコーポレーションなどと提携して、肝臓がん、糖尿病性腎障害(diabetic nephropathy)、アテローム硬化症(atherosclerosis)リンパ管奇形(lymphatic malformation)、先天性表皮水疱症(epidermolysis bullosa simplex)、緑内障などさまざまな難病を治療するための新薬開発に乗り出している。関節リウマチの新薬については、臨床前段階のテストをすでに終えた状態である。

TwoXARの関係者に話を聞いたところによると、これまでひとつの新薬が開発されるまで、平均10~15年間にわたり数百億円が投資されてきたという。しかもその時間とコストの大半は、新薬を形成する化学物質の候補を探す過程に投入されてきた。TwoXARが目標とするのは、人工知能を使ってその従来の創薬プロセスを効率化すること。すでに、新薬候補化合物の特定にかかる時間を数週間まで短縮することに成功しているという。