米国の医療関係者8割が遠隔診療に関心...アジア地域への海外進出も視野

大澤法子2017年11月22日(水曜日)

米フォーリー・アンド・ラードナー法律事務所は15日、遠隔診療およびデジタルヘルスの需要について纏めた調査報告書2017年度版を公開した。病院や診療所、その他医療機関の経営幹部ならびに重要な役職に就く者(100名以上)を対象に実施した調査に基づいた内容となっている。

同報告書によると、医療関係者の間において3年前に比べ、遠隔診療の導入への関心が高まってきているという。2014年に実施した調査では、回答者の87パーセントが遠隔診療をベースとした医療体制を受け入れず、「3年後、多くの患者が遠隔診療を利用し始めることは考えられない」と捉えていた。一方今回の調査では、回答者の約76パーセントが現在遠隔診療関連サービスを提供中、もしくは提供する方向で話を進めていると回答している。

実際に遠隔診療プラットフォームを利用した医療関係者の満足度も気になるところだ。2017年の調査では「満足である」と答えた層が最も多く(41パーセント)、「非常に満足である」と答えた層(32パーセント)と併せると、7割以上が遠隔診療に満足していることになる。一方、遠隔診療に不満を抱いている層はわずか3パーセントであった。とはいえ、まだ一度も試したことがない層は21パーセントであり、未導入グループに対していかに働きかけていけるかが今後のカギを握りそうだ。

2014年の調査では、回答者の34パーセントが数年以内における遠隔診療事業の成長の可能性を示唆していた。2017年の調査では遠隔診療市場の成長を見込んでいる者は全体の53パーセントを占めており、さらなる成長の促進に期待したいところだ。

興味深いことに、遠隔診療やデジタルヘルス関連サービスの提供を予定している回答者の80パーセントが3年以内における海外進出を視野に入れているという。特に中東や中国への進出に興味を持っている米国企業が多いようだ。

すでに日本国内においてもスタートアップを中心に遠隔診療プラットフォームのベンダーが登場している。コスト削減や資本投資の収益性の面で効果を実感している経営幹部が多いことから、今後遠隔診療市場において競争が激化することが予想される。

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大澤法子

記者:大澤法子


翻訳者・ライター。1983年、愛媛県生まれ。文学修士(言語学)。関心分野は認知言語学、言語処理。医療・介護分野におけるコミュニケーションに疑問を抱いており、ヘルスケアメディアを中心に活動中。人間同士のミスコミュニケーションに対するソリューションの担い手として、ロボット・VRなどがどのような役割を果たし得るかを中心に追及。

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