国家デジタル化を掲げたベトナム「AI人材不足・流出」に専門家から懸念の声

ロボティア編集部2019年11月21日(木曜日)

ベトナムが目標に掲げている国家のデジタル化に人工知能(AI)技術は必要不可欠だが、人材不足の問題が障害として立ちはだかっている。

ベトナム国立工科大学のNguyen Thanh Thuy副学長は8月16日、ハノイで開催されたIT会議で、ベトナムでは今後35万人のIT人材の需要が予想され、約7万〜9万人の労働力が不足することが予想されると指摘した。

ベトナムは7年前からAI研究に注力し始めたが、源泉技術やアプリケーション開発を担う人材がさらに必要となる見通しだ。とはいえ、AI関連の人材を訓練することは容易ではない。現在の世界のAI技術者の需要は100万人程度と試算されているが、新しいAIプロジェクトを主導することができる十分な技術を持った人は1%=約1万人に過ぎないとされている。

John von Neumann研究所のHo Tu Bao教授は、ベトナム企業がAI人材を養成するために教育機関と協力し、短期コースやカリキュラムを用意する必要があると指摘している。例えば今年、ハノイ科学技術大学は、少数精鋭の学生のみが入学できるよう入学条件を強化したAI学校を新たに開設した。

Bao教授は、AI分野は人材も不足しているが、彼らを訓練する教師を見つけることがさらに難しいとし、政府が国内外の専門家チームを用意するだけの資源を集中的に投入する必要があると強調した。

なおベトナム最大級の総合人材サービス企業・Navigosが、IT業界従事者を対象に調査した結果によれば、69%が「離職する意向がある」と答え、31%は「転職を悩んている」と答えているという。離職を希望する最大の理由は、同分野の従事者に対する企業の待遇が満足できないからとされている。

ベトナムでは、高度な技術者に対する報酬と投資の重要性を認められずおり、人材流出問題も深刻な水準だとされている。Navigosの北部地域本部長・Ngo Thi Ngoc Lan氏は、政府が先端技術人材を育成するための政策を用意する必要があるとしている。

人材不足への懸念が膨らむ一方、ベトナムではAIの分野の世界動向をキャッチアップしていくための努力も続く。8月初旬、ホーチミン市では同市の今後の動向を予測するために、ベトナム初の「AI基盤社会経済シミュレーションセンター」がオープンした。一部の大学では、学生のためにAI教育のカリキュラムも編成している。

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