日本のロボット産業の現状と課題…ロボット工業会・矢内重章氏

日本のロボット産業の現状と課題…ロボット工業会・矢内重章氏


Posted date:2015.11.05



kuka

KUKAの産業用ロボット photo by KUKA.com


 外国から多くの移民や労働力を受け入れるとなると、国内世論は割れる可能性が考えられます。一方で、ロボット普及に関しては摩擦が少ないような気がしますが。

 そうですね。日本が抱える社会的課題の解決にはロボット技術が必要だということについて、わたしどもは前々から伝えてきたのですが、ここにきて必要性が増してきたという印象です。加えて、経済を支えるビジネスとしても成長の可能性が大きい。

 最近、米大手IT企業をはじめ、世界の名だたる企業がロボット分野への投資を加速させています。その背景についてどう分析されていますか

 ロボットの発達というのは、コンピューターの発展そのものと言っても過言ではありません。いわゆるハードというのは作業を具体化するためのツールで、重要なのはロボットの頭脳となるコンピューターの性能です。

 同様にロボットを制御するためのソフトウェアも重要になる。アメリカのIT企業がロボット事業への参入を次々と表明していますが、これはソフトウェアやコンピューターの性能技術を集積してきたことが、ロボット分野に進出するアドバンテージになっているのではないかと思われます。そもそも、ソフトウェアや人工知能の開発は、アメリカの得意分野でもあります。

日本はロボット大国と言われていますが、その点について具体的にお聞きしたいと思います。日本はどのロボット分野において、国際的に競争力もしくは技術力が高いのでしょうか

 日本の場合は、産業用ロボット分野で強さを誇っています。産業用ロボットというのは、塗装や板金など工場で使うロボットを指します。欧米にもABB(スイス)やKUKA(ドイツ)など有名企業がありますが、日本にはファナックや安川電機など競争力や技術力を誇る企業が多い。ただし、日本の産業用ロボット業界メーカーの中には、事業の選択と集中を通じ、当該分野から撤退したところもあり、強みを持った企業が残っているという風に考えた方がよいかもしれません。

 例えば、スポット溶接をする産業用ロボットだと、ファナック、安川電機、川崎重工業、不二越が有名ですが、この4社以外ほとんど作っていません。現在残っている4社は、これまで大手企業と関係を持ちながら、現場のニーズを聞いて、常に技術を洗練させてきたという過去があります。逆に、そうでない企業は淘汰されたということです。

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参照
roboticstomorrow.com