ドローンを使った測量サービスで世界の先頭を行く米スカイキャッチ。同社は業界屈指の全自動ドローンやデータ解析ツールを提供することで市場を牽引。日本ではコマツが同社製の製品やサービスを取り入れていることで話題となった。ドローンビジネスの未来を見つめるスカイキャッチとは。クリスチャン・サンズCEOに話を聞いた。
以下、インタビュー
スカイキャッチの製品、サービスの一番の強みは?また現在、どのような顧客と取引が進んでいるのでしょうか?
スカイキャッチが誇るのはハードウェアの信頼性とデータ処理技術です。なかでももっとも重要なのはデータ分析。つまりデータから価値を引き出すことができという点です。
測量に関してはきわめて高い精度を誇っており、これまで1週間かかるようなタスクを3~4時間に短縮できます。
スカイキャッチの社員規模は70名程度で、小規模の支部が日本とカリフォルニア州サクラメントにあります。またメキシコにかなり小さい支部も。
現在、主に取引をさせていただいているのは、日本のコマツ、クレコ(Cleco)、エイコム(AECOM)、ベクテル(Bechtel)など。日本支社には3人が在籍しており、年内に8人くらいに増やそうと考えています。これまで数ヶ月間は、コマツと良好なパートナーシップを築きあげるために集中してきました。現在は、新たなクライアントを獲得するために準備を進めています。
スカイキャッチに投資しているのはどのような企業、また団体、個人ですか?
アヴェロン(Averon)、グーグルベンチャーズ(GoogleVentures)、ベガステックファウンド(VegasTechfund)、クアルコム(Qualcomm)、リバーウッドキャピタル(Riverwood Capital)、コマツ、マーク・ベニオフ(セールスフォースCEO)、オートデスク(Autodesk)などです。
スカイキャッチにとっての市場は?
今のところ集中している建設だけで数千億円市場。将来的には、鉱山、インフラなどの点検、他の市場にも進出したいと考えています。ハイレゾリューションデータを入手できるという強みを持つスカイキャッチのサービスは、他の市場でも効力を発揮すると思います。ただ現状では点検のマーケットが技術の面からリーチしやすい最大の市場になると考えています。他の市場は技術のさらなる発展が必要。
地域的には、日本もそうですが、オーストラリアの市場が大きくなると予想しています。理由としては規制がより柔軟であること、鉱山ビジネスが非常に大きいこと、建設ビジネスが大きいこと、すでに現地企業と強い関係性を築けつつあるということなどです。
スカイキャッチがビジネスをグローバル展開していく上での戦略は?
小さい会社なので資源を集中させたい。顧客にとって有意義で役立つことを、現在の製品で確実に形にしていきます。また顧客との関係を築き、ビジネスを進めていくうえで、どの分野、どの国で需要があるかなど、情報を手に入れて方向性を決めていこうと考えています。優先度としては日本とアメリカが高いです。
製品やサービスを展開していく上での課題は?
産業側が、いかに早く自分たちの技術を有用であると学習し理解するか。もちろん、早ければ早いほど会社が拡大するのも早くなるでしょう。
競合すると考えている企業はありますか?
現状、スカイキャッチが提供しているレベルで顧客に価値を供給できる企業はないと思っています。初期はオートデスク(Autodesk)が建設を最適化しているという点で競合相手になりうると考えましたが、競合する代わりに提携するという道を選びました。
そもそも、ドローンを使った測量や点検は新しいマーケット。いろいろな競合企業が出てきて、その技術的な価値を伝えてくれることはとてもいいことだと考えています。
スカイキャッチは自社の製品、サービスをどのように差別化している、もしくはできると考えていますか?
スカイキャッチは常に、データから得られる情報やインテリジェンスにフォーカスしてきました。当初、ドローンそのものへのフォーカスは低かったのですが、ハイレゾリュ―ションデータを手に入れるために、信頼できる機体開発も進めてきました。これまで、要求水準の高い大企業と組み、一日に数時間も飛行およびデータをとる訓練をしてきましたが、そのようなことをやっている企業は他にありませんでした。
他の企業がドローンを使った測量・点検ビジネスに進出するとして、その参入障壁の高さをどう考えますか?
建設件数の多さを見れば参入障壁は高くないと言えるでしょう。スカイキャッチのテンプレートを使って、他の企業が参入することも出来るでしょうし、それは簡単だと思います。だだし、重要なのは資金の確保や、しっかりとしたサポートを用意できるかどうか。また、正しい顧客と組んで生き残っていけるかどうかだと思います。建設業界だけでも可能性はとても大きい。誰しも参入できる機会があると思います。