【ドローンビジネス】DroneGames社・黒田潤一代表インタビュー

河鐘基2016年3月15日(火曜日)

ドローンが日本で普及しはじめ間もない頃から、関連イベントやコンサルティング、講習会、空撮など幅広いビジネスを展開してきたDroneGames社。今回、ロボティア編集部では、同社代表を務める黒田潤一氏に取材。ビジネス現場から見た、今後のドローンの性能向上の可能性や、関連ビジネスの最新動向を伺った。

以下、インタビュー(太字は質問)

―2015年からドローン関連のビジネス、イベントで幅広く活躍中のDroneGames社ですが、主な業務内容はどういったものになるのでしょうか?

 弊社では、ドローンを使ったイベント、空撮など映像制作また、ドローン導入を検討されているクライアントの方々へのコンサルティングなどを主な業務にさせていただいています。ただドローンは現在、普及期という実情がありますので、業務としてはコンサルティングの比重が大きいです。

 その他にも、ドローン体験会や、勉強会などもサポートさせていただいています。勉強会について詳しく説明させていただくと、例えば以前、土地開発を進めるクライアントの方から相談がありました。太陽光パネルを設置したり、リゾートホテルを作る際に事前資料を作るのですが、そこでドローンを採用したいというものです。そのような場合、まずは弊社で撮影をさせてもらいつつ、次回から社員の方々に飛ばしていただけるよう、研修という形でノウハウを提供させていただいています。

―黒田氏は、かなりはやい段階からドローン関連ビジネスを構想・展開されています。もともと、どのような契機でドローン関連ビジネスをはじめることになったのでしょうか。

 私自身はもともと、教員を目指していたということもあり、幼い学生向けの体操スクール、スポーツスクールを運営していました。当時、DJI社の「Phantom2」が発売された頃だったのですが、偶然、ドローンを飛ばしている方にお会いすることになりまして。その方の影響でドローンを購入して、子供たちを空撮してあげていました。

 子供たちは飛んでいるドローンを見て喜んでくれましたし、ドローンで撮影した映像を見せても喜んでくれました。ドローンはまるで、魔法のようなツールだなと。巷でもちょうどその頃から、ドローンビジネスの可能性がニュースなどで報じられるようになりました。すでに、趣味半分でドローンに関わるようになったのですが、ビジネスとして何かおもしろいことができるんじゃないかということで、レースやイベントを企画しようという流れになりました。その後、法人を設立して現在にいたっています。

ドローンゲームス_黒田氏
photo by DroneGames

―読者からの疑問でもあると思うのですが、現在、市販されているドローンの性能というのはどれほどのものなのでしょうか。日本では墜落などのニュースが先行して、ネガティブなイメージもあるかと思います。今年、ドローンの機体性能はどのように発展していくとお考えでしょうか

 いろいろなドローン製品を取り扱ってみて思うのは、その進化がものすごく速いということです。現在、スマートフォン端末であるiPhoneには4Kカメラが搭載されています。しかし、そこにたどり着くまでに何度もバージョンUPを経ています。

 一方、ドローンは新機種が発表されたり、シリーズの新バージョンが発表されるたびに、スペックが格段に高まってる。例えば、障害物などを避けるいわゆる“衝突回避機能”などは、来年や再来年に登場すると予想していたのですが、2016年中には実装される可能性が非常に高くなっています。

 対象追跡機能などは昨年の段階で実装されている製品が多かったですし、その他にも、ユーザーが利用したくなるような機能がどんどん追加されています。2016年には、そのスピードがさらに早まるのではないかと予想しています。

―機能が次々に追加されることになると、コンサルティングサービスを提供するDroneGames社としては、非常に大変ではないかとも思うのですが(笑)

 そうですね(笑)ただ弊社としては、ドローンにより多くの機能が搭載された方が、クライアントの皆様にとってはメリットが大きいと考えています。個人的にも、機体の性能がどんどん上がり、ビジネスとして取り組める範囲が広がるのは嬉しい限りです。

 また同じ機能でも、その精度は日を追うごとに高まっています。例えば、さきほど申し上げ自動追跡機能は、ほぼほぼ完ぺきな技術が出てきている。今後は、対象を追跡するのと同時に、木など障害物をよける機能の精度が高まっていくと考えられます。

レインボーブリッジ
photo by photock.jp

―DroneGames社では撮影なども幅広く展開しているとお聞きしています。ドローンとエンターテイメントというキーワードで考えた時、どのようなことが実際に起きていて、またこれからの課題はどのようなところにあると思われますか

 最近、映画、一般のTV番組などにおいても、ドローンで撮影した動画が多く採用され始めています。NHKや民放各社もドローンの導入を進めていて、社内コンプライアンスが厳しいとされる日本テレビ社の方でも、ドローンを購入して撮影を始めていると聞いています。また、TV局と連携している一部製作会社の皆さんも、ドローン導入に積極的です。

 ドローンを使った動画を採用した有名どころの番組で言えば、「はじめてのお使い」や、年末恒例番組になった「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」などがあります。後者の方は、DroneGamesの方でもサポートさせていただきました。また、2014年の「紅白歌合戦」で、Perfumeがドローン使った舞台を披露したのは話題になりましたよね。今後、そのようなジョイントがどんどん増えて行くと思います。

 一方、課題として考えられる領域としては「リアルタイム配信」があります。現状だと、転送スピードが遅かったり、画質が落ちます。電波帯の問題もありますが、その分野でイノベーションがあれば、ドローンとエンターテイメントの結びつきはさらに広がっていくのではないかと思います。

 また、飛行許可を取るのに時間がかかるという話が、商用利用を進めたい方たちの間では話題になっています。ドローンを商用利用する場合は、事前に飛行計画を国交省に提出します。私有地だとしても、人口密集地など国のガイドラインに抵触しそうな場合は申請を出すようにしています。

 基本的に、ガイドラインさえ順守すれば許可は下りますし、最近ではレインボーブリッジの付近でも許可が下りたという話を聞きました。加えて、申請許可のスピードを担保してもらうのも、ドローンビジネスにとっては非常に重要な要素になってくるかと思います。

ドローンゲームスTOP
photo by DroneGames

―DroneGames社では今後、ドローンのどの分野でビジネスを展開したいと考えていますか。展望をお聞かせ下さい。

 ドローンビジネスもさまざまな領域があるかと思うのですが、DroneGamesとしてはエンターテイメント分野で積極的に活動していきたいと考えています。ステージでのドローンパフォーマンスでしたり、演出などですね。

 2カ月前、インテル社が100台のドローン飛ばすパフォーマンスを実施して、世界から注目を集めました。DroneGamesも、そのような試みを仕掛けていきたいと考えています。現在、地上を走るドローンや、水中を潜行するドローンも登場してきています。ドローン×エンターテイメントのすそ野はどんどん広がって行くと思いますし、そこで自社の強みやアイデアを生かしていきたいです。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。