測量、農業、物流など、世界中で産業用ドローンの用途拡大が見込まれるなか、日本の現場でも新たな需要の掘り起こしが着実に進められている。長野県伊那市の取り組みは、そんな「ドローンの新たな使い道」を自治体規模で模索する好例と言えそうだ。
長野県伊那市はきたる2017年10月18日から21日かけて、「ドローンフェスin INA Valley」を開催予定。その目玉企画のひとつとして、「シカ(鹿)検知コンペティション」を用意している。
シカ検知コンペティションでは、大会運営者が700m×200mの敷地内のどこかに「シカのはく製」を設置する。参加する各チームは、ドローンの機体や解析ソフトウェアなどを用意。隠されたシカのはく製を発見するまでの時間(制限飛行時間15分以内)や効率を競う。
主催者側が念頭に置いているのは、今後、ドローンを有効活用することで野生動植物の研究調査などに役立てようというもの。“競争”という形式を取り、イノベーションやアイデアを刺激する狙いがある。優勝賞金は100万円だ。
現在、同コンペティションに参加を表明しているのは、全15チーム。各チームのバックグラウンドにあるのは、ドローン関連技術を研究・開発・運用する企業・大学などとなる。今回、ドローン測量・空撮ビジネスをてがける「KELEK」と、非鉄金属世界大手メーカー・古河グループ(古河電気工業、古河産業)もタッグを組み、チーム「KELEK×F」として大会参加に名乗りを上げた。
参加する15チームは、それぞれの手法でドローンを使った「シカ検知」を達成しようと用意を進めている。AIを使ってシカを探し出そうというチームもいれば、センサーや各種カメラの性能を駆使して目的を達成しようというチームもある。機体やソフトウェアについては、自社開発、もしくはメーカーの既製品を使用するなど各チームがそれぞれ選択する。
「KELEK×F」が使用を想定している機体は、DJI社製の最新産業用ドローン「Matrice 210(以下、M210)」だ。経験豊かなオペレーターの操縦能力と、サーマルカメラ・FLIR Zenmuse-XT(熱感知カメラ)および可視光カメラ(一般的なカメラ)を併用してコンペティションの優勝を狙う。KELEK代表・十田一秀氏(UBAA理事)は言う。