日本のロボット産業の現状と課題...ロボット工業会・矢内重章氏

日本のロボット産業の現状と課題...ロボット工業会・矢内重章氏

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Posted date:2015.11.05

ビジネスとロボット
photo by innoecho.com

 ロボットの販売についてはビジネスモデルも重要になってくると思うのですが、いかがでしょうか

 さきほど話したように分野を特化して、個別にしっかりとビジネスモデルを作る必要があるでしょう。例えば、売ろうとしているロボットは売り切りなのか、レンタルなのか、リースなのか、そういう細かい部分まで戦略として練る必要があります。

 1980年代に、農業分野で新しい農機具が開発された時の話は教訓になるかと思います。過去に農業分野で失敗したのは、高い農機具、例えば田植機とか稲刈り機とか、コンバインを農家に購入させてしまったという点です。農家がそれらの機械を使うのは、1年のうちに数日です。高価な器具を購入した結果、農家が疲弊してしまった。本来であれば、農協などが購入してそれを農家がレンタルしたほうが、持続可能なビジネスモデルになったのではないかと思います。

 ロボットで言えば介護系ロボットがそうで、実際すでにほとんどレンタルやリースになっています。購入したとしても何十年も使わないので、利用者としてもレンタルの方に需要がある。今後ロボット産業が発展するためには、ビジネスモデルを個別に構築することが欠かせないでしょう。

海外では産業用ロボットで注目されているデンマークの企業ユニバーサル・ロボットなど、ベンチャー企業に勢いがありそうです。日本では同じような動きがあるのでしょうか。

 わたしどもも、ロボット分野における日本国内のベンチャー企業の活躍についてはそれほど話を聞きません。そもそも日本の場合は、ベンチャーマインドが高くありません。これは、起業家側の気概の問題もあるのですが、社会全体にリスクを負わない風土がある。このリスクを負うというのは、何も無謀な危険を冒すという意味ではありません。デメリットを勘案した上で、メリットに積極的になるという意味です。

 日本のロボット業界で言えば、産業用ロボットで評価が高い安川電機が運動機能海部訓練ロボットを作って売り込みましたが、業界的にあまり受け入れられなかった。分野が違うと知名度も異なりますし、仕方ないことなのかも知れませんが……。いわゆる大企業であってもそうなのに、ベンチャー企業がロボットを商品化して参入するとなるとかなり大変ですよね。ロボット産業の活力は、そういう社会的風土にも左右されるかもしれません。

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参照
roboticstomorrow.com