日本のロボット産業の現状と課題…ロボット工業会・矢内重章氏

日本のロボット産業の現状と課題…ロボット工業会・矢内重章氏


Posted date:2015.11.05



MIT

photo by MIT HP


 現在、ロボットや人工知能分野では、やはり米国が強いのではないかという印象ですが、どう分析されていますか

 特に人工知能分野におけるアメリカの強さは、世界中から人材を集められるという点に起因するかと思います。9月にトヨタが無人自動車開発に注力するという報道がありましたが、スタンフォードやMITに投資するとしていますよね。これは日本の大学や研究団体に投資をしたくない訳じゃないと思いますよ。単純に人材が不足しているんです。

 日本の場合、ハード開発の面ではかなりレベルが高いのですが、ソフトウェアに関しては研究環境が米国ほど整っていないと言えます。個人的に優れている研究者は多いと思いますが、国際競争力で考えるとそれほど強くありません。

 日本の研究環境が弱いというご指摘ですが、研究資金やスポンサーの問題とも関連があるのでしょうか。

 その点は否めないと思いますよ。米国はご存知の通り、軍が研究開発のスポンサーになっています。過去にインターネットや電子レンジを開発し、最近では災害用ロボットにも力を入れている国防省傘下のDARPAなどが分かりやすい例でしょう。

 アメリカはあちこちの大学に研究費を支給しています。ドローン、UGV、遠隔操作技術、宇宙工学など、軍事研究からの転用やデュアルユース目的で開発された技術を挙げていけば枚挙に暇がない。ルンバもそうですよね。爆弾処理用ロボットとか偵察用ロボットで得た資本と技術を使用して、民生用に掃除ロボットを開発し成功したよい例となると思います。

 日本の場合、軍から企業・研究機関に膨大に研究費が下りてくるということはないと思いますが、国家単位でロボット産業をどう成長させるかという議論は必要になってくるかと思います。さきほど話したような現場でのビジネスモデル構築、そして大きな枠組みの中での成長戦略。それらがうまくかみ合う必要があるでしょう。

(取材・文 河 鐘基)
1 2 3 4 5

参照
roboticstomorrow.com