16日、イタリア政府はスンニ派過激武装勢力・イスラム国(IS)がドローンを使用してローマをテロ攻撃する危険性があると判断し、飛行を禁止する方針だと現地メディアが報じた。
同日、アンジェリーノ・アルファの内相は議会に出席し、12月8日から開始するカトリック聖年「慈悲の年」の期間、ISがドローンでローマを急襲する可能性が高いとし、イベント中、ローマ中心部の上空でドローンを飛ばすことができないようにすると明らかにした。
聖年の期間、ローマにはイタリア国内はもちろん、世界各国から数十万人のカトリック信者や観光客が殺到すると見られている。ISはこれまでソーシャルメディア(SNS)などを通じて、ローマとバチカンをテロの標的にすると複数回にわたり脅威を与えている。アルファノ内相は、バチカン・サンピエトロ広場とその周辺など、テロの目標になりうる区域の警備を大幅に強化したとも伝えた。
イタリア政府はフランスのパリ同時テロを受け、すでにフランシスコ法王の身辺保護などのために、約700人の兵力をバチカンを中心とするローマ一帯に追加配置し、フランス国境地域の国境管理を拡大している。
アルファノ内相は「コロシアムとユダヤ教会をはじめ、コンサート会場やサッカースタジアムなど、94か所の重要施設に対する警備を強化する。すでに、1300人の軍人が配置されており、加えて700人以上の兵力を追加で投入する」と説明している。
なお、イタリアは11月4日に、米国の武装ドローン(無人戦闘機)を輸入すると明らかにされている。米国の無人戦闘機が輸出されるのは、英国に続き2国目となる。
今回、販売許可された武装ドローンは、米軍機MQ-9リーパーに、ヘルファイアミサイルとレーザー誘導爆弾などを装着したもので、輸出規模は1億2960万ドルと予想されている。主契約者は、民間防衛会社ゼネラルアトミック社だ。
2009年から、米国製非武装MQ-9リーパーを輸入してきたイタリアは、北大西洋条約機構(NATO)と、連合軍の軍事作戦を支援、自国の兵士を保護するという名目で、2012年から米国に武装ドローンの販売を要求してきた。イタリア以外には、トルコが米国製の武装ドローンを購入するという意思を明らかにしている。
フランスおよび欧州で起きているテロの脅威は計り知れないものがある。ただし、米国製ドローンの誤爆による死者も年々増え続けており、”自動化”された暴力の連鎖が危惧される。
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