韓国・ソウル市がドローンの積極活用を政府に打診

ロボティア編集部2015年11月28日(土曜日)

 韓国・ソウル市が、交通管理の目的でドローンを積極的に活用すべきだとし、中央政府に運航許可基準の緩和を要請した。 

 ソウル市は11月16日、国防部と国土交通部、首都防衛司令部に公文書を送り、公共の用途にドローンを活用する場合に、許可手続きを簡素化することができるように航空法やガイドラインを改訂するように求めた。 

 ソウル市は現在、交通システムの変更、工事前後の交通の流れを分析したり、交通施設を管理するためにドローンを投入している。しかし、現行の法律上は12kg以下のドローンを飛行させる場合も、国防総省の承認を毎回得なければならない。

 ソウル市内のほとんどが、飛行禁止区域または飛行制限区域となっており、撮影日時の約半月前に承認申請書を提出しなければならない。また、撮影時には国防部の職員の同行が義務付けられている。 

 ソウル市交通運営関係者は、「一般的な個人が趣味を目的とするのとは異なり、地方自治団体など公共機関がドローン新技術を公共目的に活用する場合には、緩和された基準を適用する必要がある」と説明した。 

 今回のソウル市の提案は、公共機関が事前にドローン機種と使用目的、区間、飛行期間(1ヶ月〜1年)を申告し承認された間は、毎回、運航承認なし、有線通知後に運航できるように制度を改善するというものだ。 

 ソウル市は今年9月、ソウル広場でドローンエキスポを開くなど、ドローンを行政に積極的に活用しようとする動きを見せている。 

 遡ること8月には、韓国で最初にドローンを火災などの災害現場に投入し、行方不明者の調査などに活用するとも明らかにしている。ソウル市は熱画像カメラを装着したドローン2台を導入、消防災難本部の119特殊救助団に配置してテスト運用をしている。

  市関係者は、「ドローンが様々な行政分野での役割をすることができるように、画一的な法制度を改善する必要がある」と指摘している。

ドローン_ソウル市飛行禁止

 韓国では現在、ドローンのセキュリティガイドラインも用意が始まっているという。未来創造科学部が17日に示したところによれば、ドローンがハックされ大事故につながる懸念に備え、来年下半期にはセキュリティガイドラインを提示する計画だという。

 ガイドラインには、ドローンの位置情報判別機能、DDoS攻撃防御、周波数攻撃防御などが含まれる。位置情報判別は衛星航法装置(GPS)をハッキングして、操縦者のドローンに誤った位置情報を提供して事故を誘発する犯罪を防ぐために必要である。

 DDoS攻撃防御は、ハッカーが特定のドローンに通信電波を当て、巨大なトラフィックを発生させることを防ぐ。この防御機能がなければ、飛行中のドローンが操縦者の制御信号を受けられず、事故につながる可能性がある。周波数攻撃は、ドローンの水平を保つジャイロセンサを妨害し、その機能が麻痺させるものなので予防策が必要である。

 未来創造科学部はガイドラインを用意するために、韓国電子通信研究院(ETRI)などに研究を委託する計画だ。関係者は、「国内ドローン市場はまだ初期段階だが、ハッキングの危険に備えたセキュリティが必要だと判断し、ガイドラインを作ることにした」と説明した。なお、韓国模型航空協会は、韓国国内で利用されているドローンの数が、最大10万台程度だと推算している。