「ポスト・アプリの時代が優勢となり始める」
米IT専門コンサルティング企業ガートナー(G1artner)は、昨年10月にリリースしたレポートの中で、そのように指摘した。
ニュースを探したり、旅行で観光地を検索したり、おいしい店をピックアップしたり、終電の時間を調べたりするあの“アプリ”が、徐々に力を失っていくというのだ。一方、2015年11月25日にニールセンが発表したニュースリリースによれば、日本のユーザーは、スマートフォン利用時間のうちの80%を、アプリ使用に費やしていることが明らかになった。その数字だけ見ると、まだまだアプリ全盛期は続くと思われるのだが……。ガートナーの指摘は一体、どういうことなのだろうか。
ガートナーは、次の時代にやってくるのはスマートエージェント(知的エージェント)、しかも少数のそれが人々のモバイルの活動の大部分を占めることになり、「ポスト・アプリ」(Post-App)時代への扉を開くと説明している。ガートナーで責任研究員を務めるジェシカ・エクホルム(Jessica Ekholm)氏は言う。
「2020年には、アップル・シリ(Siri)のような仮想パーソナルアシスタント(VPA)などを中心に、少数のスマートエージェント(smart agent)がモバイル活動の40%を占め、多数のアプリが不要になる」
なお定義としては、仮想パーソナルアシスタントや人工知能アシスタントは、スマートエージェントの一部に含まれると理解して間違いないようだ。スマートエージェントは、その他の形としてもありえる。入力された情報を知覚して一定の知的処理をほどこし、その結果をフィードバック(行動)するものは、スマートエージェントと呼ぶことができる。
正確な例えかは分からないが、例えばオープンカーに乗っている時に雨が降ってきたとして、それを検知した人工知能が状況把握、車の屋根を自動で閉めたとする。これは、スマート“ソフトウェア”エージェントと呼ぶことができる。