Googleの子会社である英スタートアップ・ディープマインド(Deepmind)が開発した人工知能囲碁プログラム「アルファゴー(AlphaGo)」と、囲碁現役世界チャンピオンであるイ・セドル9段(韓国、上写真)との対決が実現。初戦を人工知能であるアルファゴーが制した。
3月9日の対局に先立ち、大多数の専門家がイ・セドル9段の圧勝を予想していた。が、いざ蓋を開けてみると、アルファゴーの能力は世界チャンピオンも驚くような力を発揮した。イ・セドル9段は終始攻勢をしかけたが、アルファゴーは動じず。ペースを維持した。
関係者たちの話によれば、アルファゴーは昨年10月より、一層アップグレードされた様子だったという。対局中盤には、イ・セドル9段が有利な形勢となったが、動揺を見せることもなかった。
この日、対局の解説を担当したキム・ソンリョン氏も、アルファゴーの“冷静さ”に驚きを示した。キム氏は「解説中に感じた点は、今日の対局がプロたちのスタイルとは異なる形で進められているということ。プロは、良い点や悪い点があるときに、その流れに乗って、次の手を展開していく(中略)アルファゴーは、自分がミスしたにもかかわらず“冷静さ”を保っていた。これは特異なことだ。一瞬、アルファゴーが致命的なミスを犯したが、形勢は変わらなかった。人間とはまったく異なる」と舌を巻いた。
アルファゴーと初対局で衝撃的な敗北を喫したイ・セドル9段は、対局直後に開かれた記者会見で次のように述べた。
「負けるとは思っていませんでしたが、あまりにも驚いた。囲碁的な観点で言えば、序盤の失敗が最後まで尾を引いた。アルファゴーがここまで完全だとは思わなかった」
またイ・セドル9段は、記者会見でGoogle側の関係者が自分に敬意を表したことについて、「アルファゴーを作ったプログラマに深い敬意を表する」と返礼した。
またこの日の記者会見では、ディープマインドのデミス・ハサビス(Demis Hassabis )CEOが、イ・セドル9段について言及。「戦闘的かつ創造的な囲碁スタイルで有名だ(中略)大きな敬意を表する」とした。また、ハサビス氏は結果について喜び、「今まさに始まった。すべての可能性が開かれている」と言葉を残した。
「まだ4回対局が残っている。今日の対局が終わったので、明日以降、イ・セドル9段が新たな試みをするはずだ。それに対して、アルファゴーがどう対応するか期待している」(ハサビス氏)
アルファゴーの主席開発者であるデビッド・シルバー(David Silver)氏も「イ・セドル9段に深い敬意を表する」とし「素晴らしい囲碁を展開してくれたことに感謝している」と述べた。当日の対局に対しては「すべての瞬間がアルファゴーの限界値まで力を発揮しなければならなかった。(中略)すべての面で、アルファゴーの限界を実験する良い機会だった」と評価した。
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