米自動車専門メディア・オートモーティブニュース(automotive)などは22日、自動走行車開発のために、Google(グーグル)が自動車メーカー・フォードと協力する案を議論していると報じた。議論が進めば、来年1月に米ラスベガスで開催される世界最大の家電展示会「CES 2016」で発表されると予想される。
Googleの関係者はフォードと協力説について言及していない。だが、いくつかの自動車会社と協議しているのは事実だと明らかにした。フォード側は肯定も、否定もしなかった。フォードのアラン・ホール広報担当は「私たちは世界中の多くの技術企業と協力しており、これらの議論は競争的な理由のために非公開で進められている」と述べている。
Googleは昨年7月に、フォードCEO(最高経営責任者)から退いたアラン・ムラーリー(Alan Mulally)氏と、フォードで14年間勤務し、現代自動車の米国販売法人代表を務めたジョン・クラプチク(john krafcik)ら2人の元フォード役員を迎え入れた。ムラーリー氏はGoogleの理事会に合流しており、クラプチク氏は自動走行車プロジェクトの代表として活動している。
Googleは2020年までに無人自動車を商用化するため、今年初めから世界的自動車メーカーのほとんどと開発について議論を開始しており、自動車部品サプライヤーでチームを構成した。ブルームバーグによると、Googleは自動走行車の事業部門を、親会社アルファベット傘下の独立子会社として分離するものと見られている。去る6月には、小型無人車のテスト走行を開始した。
フォードは、研究開発センターで自動走行車のソフトウェアを開発しているが、これまでGoogleやAppleなどの企業と協力する可能性があるとしてきた。フォードのマーク・フィールズCEOは最近、メディアのインタビューに対し「私たちは、私たちがすべてできると思うほど傲慢ではない」とし「連携が非常に重要である」と述べた。
Googleとの提携は、フォードの自動走行車技術を発展させるのに寄与するものと予想される。フォードは来年、自動走行「フュージョンハイブリッド」のテスト走行を行う計画だと、今週発表した。またフォードの関係者は、4年以内に自律走行車が完成することを期待しているとも明らかにしている。
フォードがGoogleの無人自動車関連のソフトウェアに合わせて新しい車体を設計するか、もしくはGoogleの自動走行車センサーとコンピュータシステムに合った標準的な車体を提供するかはまだ決まっていない。フォードは、Googleの自動走行車に自社のエンジンなどの部品を使用することになる。グーグルとしては、フォードに自動走行車の生産を委託できれば、時間とコストを節約することができる。
米メディア・ヤフーオート(yahooAutos)も、両社が協力することにより、Googleは自動車を直接製造する際にかかる費用と時間を節約することができ、一方のフォードはソフトウェア開発で大きな助力を得ることになるだろうと分析している。
クラプチク氏が言及してきたように、Googleは自動走行車が普及することで、交通事故による脅威を減らすことができると考えている。 Googleは今年2月、米国道路交通安全局(NHTSA)のPDF研究ファイルを根拠に自律走行車の必要性に言及した。Googleに合流しているフューチャリストのレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)氏は「自動走行車は事故を減らしてくれるだけでなく、通勤時間などの間、私たち自由をもたらすよう手助けしてくれる」と明らかにした。
Googleは長らく自動走行車の事故運行記録を公開していなかったため、信頼性失墜の危機に立たされたこともある。その後、レポートを公開せよという世論を受け入れ、毎月1日に、自動走行車の事故レポートを公開している。
市場調査会社ガートナーのティロ・コスロウスキー(Thilo Koslowski)氏は、自動車メーカーがGoogleと協力すれば、製品の差別化が進み、競合他社に一気に追いつくことができるだろうと指摘している。また、Googleは自ら自動車を生産するよりも、OEM提携社見つけることに注力するだろうとしおり、グーグルの技術の恩恵を消費者に提供するためには、できるだけ多くの会社が必要だと述べた。
(ロボティア編集部)