アルファゴ以降の人工知能、世界で激化する覇権争い

ロボティア編集部2016年3月27日(日曜日)

 人工知能(AI)を巡るグローバル覇権競争が激しさを増している。グーグルがアルファゴの活躍で勢いをつけるなか、IBM、マイクロソフト(MS)などの古豪の反撃も著しい。一方、百度など中国企業も人工知能を巡る主導権争いに参戦しようとしている。

 Googleは最近、囲碁人工知能プログラム「アルファゴ」に続き、クラウドサービスに機械学習(マシンラーニング)機能を拡大した。2001年から関連分野に約280億ドルを注ぎ込んでいる。画像認識、音声認識、電子メールなど多方面で機械学習サービスを提供し、ユーザーとの接点も増やしている。昨年11月には、機械学習オープンソースライブラリ「テンサーフロー(TensorFlow)」を公開した。エリック・シュミット会長は当時、「機械学習システムにも”標準”が必要。オープンソースでより多くの人が参加できるようにして、標準化を牽引する」としている。

 IBMは、認知コンピューティングプラットフォーム 「ワトソン(Watson)」で人工知能市場を攻略する。ワトソンは、自然言語を理解し、膨大なデジタル知識に基づいて仮説を生成、継続的に学習する。最近、IBMはブルーミックス(Bluemix)韓国語版のリリースを予告している。ブルーミックスは、クラウドでアプリケーションを開発して、ワトソンと連携する開発者のための統合プラットフォームサービスだ。いわゆる”ワトソン生態系”を構築するための措置といえる。

 一方、MSは人工知能テストプラットフォーム `AIX`を無料公開することにした。AIXは、MSが買収したゲーム「マインクラフト」の中でAIをテストして、パフォーマンスの向上を図る。Googleとは異なり、実際の世界と同じ事物や構造などを反映した仮想環境で、普遍的かつ総合的な人工知能の実装に焦点を合わせている。また、 人工知能音声アシスタント「コルタナ(Cortana)」や、スカイプ翻訳音声認識技術などを公開している。ディープラーニング開発ツール CNTK(Computation Network Toolkit)と分散機械学習開発ツールも提供する。

 Facebookは昨年末、AIサーバー「ビッグサー(Big Sur)」の設計を無料で公開した。ビッグサーは機械学習のデータ学習時に使用されるサーバーで、データ処理速度を高めた。これに先立ち、ディープラーニング開発環境「トーチ(Torch)」向けモジュールもオープンソースで公開した。

バイドゥー_自動走行車
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 中国も人工知能を集中的に育成する。今月初め、全国人民代表大会と全国人民政治協商会議では、「13次5ヵ年計画」を通じて、人間とロボットの相互作用のための、インターネットプラットフォームを確保する計画を明らかにされている。百度(バイドゥー)は、2018年を目標に自動走行車を開発している。 2014年には、米国シリコンバレーに、3億ドルをかけてAI研究所を設立したており、すでに独自に開発したAI言語認識技術も公開している。テンセントとアリババも、ロボットなどAI事業に進出した。

 AIのそれぞれの領域には、それぞれ強者が存在する。追求する方向と目的も少しずつ異なる。 Googleは、学習と意思決定分野で強み示し、今後も追及する。 IBMワトソンは言語知能が強みがある。人間の脳の構造を模写した半導体チップ「ニューロモフィックチップ(Neuromorphicchip)」と、スーパーコンピュータなどのAI用ハードウェアの分野でも先頭に立っている。 マイクロソフトは、2015年の国際画像認識コンテスト「イメージネット」で画像認識部門1位を占めた。

 人工知能開発で競争力となるもののひとつがビッグデータの存在だ。データが不足すると競争に勝ち抜くことは難しい。各社がAIプラットフォームを公開する一方、データを公開しない理由もここにある。 Googleの確保しているデータ競争力は強大だ。検索、電子メール、Androidユーザーデータなど膨大なデータが蓄積されている。 IBMもツイッター、アンダーアーマー(Under Arrmor)、ヒルトン(Hilton)など多くのメーカーと協力。データの確保に乗り出した。昨年10月には、気象情報会社ウェザー・カンパニーの気象資料を日本円にして2000億円を超える金額で買い入れたという報もある。

 人工知能分野においては、専門人材の確保競争も激しい。多くの企業がAI分野に飛び込んだが、高い技術を持つ人材は限られている。グーグル、フェイスブック、百度が一気にトップに躍り出ることが可能だったのは、学界最高の専門家3人を迎え入れることに成功したからだ。彼らがAIスタートアップに積極的に投資する理由は、単にそのソリューションだけでなく、人材を確保するためだという向きが大きいとされている。

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