「(サーバーの)冷却には一般的に、ポンプと冷却器、クーリングタワーなど大型の産業用機器が使用される。私たちは、データセンターをより効率的に運営するために、2年前からマシンラーニング(機会学習)を適用してきた。そして過去数ヶ月の間に、システム使用率を高めるため、ディープマインドの研究者とGoogleのデータセンターのチームがコラボレーションを開始した」
上のコメントは、グーグルの子会社・人工知能開発企業であるディープマインドのブログに掲載された文章だ。Googleは、検索サイトやメール、Youtubeなどの数多くのインターネットサービスを運営している。それらのサービスを処理するサーバーは、膨大な熱を発散するのだが、サービスを正常に運営するためには、それらの熱を上手く処理し、かつエネルギー効率を高める必要がある。
ディープマインドはこれまで、データセンター内の数千のセンサーを通じて収集されてきたデータを使用し、人工知能に平均PUE(Power Usage Effectiveness)を向上させるための学習をさせてきた。PUEはデータセンターの電力使用効率を示す指標で、PUEが低いほど電力をより効率的に使用しているということになる。
「(開発された)マシンラーニングシステムは、冷却にかかるエネルギーを40%削減した。電力損失と非冷却部門の非効率改善を含め、全体PUEの15%削減したものと同じことになる。これは、データセンター運用開始以来、最も低いPUEを達成したものとなった」(ディープマインドのブログ)
今後Googleは、ディープマインドのマシンラーニング・アルゴリズムを、データセンター以外の問題を解決するためにも使用する予定である。発電機の変換効率を高め、同じ機器でより多くのエネルギーを生産するという用途が代表的である。例えば、半導体製造プロセスのエネルギーと水の使用量を削減して、製造工場における生産量を増やすことなどに採用する計画だ。また、他の企業がこの利点を利用できるように、研究結果を共有する予定としている。
Googleは同時に、データセンターの運用に再生可能エネルギーを積極的に使用していることで有名だ。ブログを通じて「今回の成果は、Googleクラウドを使用する他の企業のエネルギー効率を向上させる助けにもなるだろう。データセンターを運営する企業は多いが、再生可能エネルギーの活用面では、我々は大きく進んでいる」と説明している。
Googleは最終的に、独自のデータセンターを100%再生可能エネルギーで稼働するという構想を掲げている。現在は、フルパワーの35%相当を再生可能エネルギーで賄っている。なお、Googleは世界中の22の風力および太陽熱発電プロジェクトに参加しており、現在までに15億ドルを投資している。そして、全世界で再生可能エネルギーを最も多く購入している企業でもある。