AIがAIを創る!? Googleが新たなアプローチ「AutoML」を始動

ロボティア編集部2017年6月14日(水曜日)

 AIがAIを創る…!? Googleの動向を見守る海外各メディアが、そのような内容の話を盛んに切り出しはじめている。というのも、Googleがマシンラーニングアルゴリズムでソフトウェアを生み出すという、新しいアプローチのAIプロジェクトを進めているからだ。同技術が商用化されれば「遠くない将来にソフトウェア開発者と呼ばれる職業が消えるかもしれない」という話さえ、にわかに飛び出しはじめている。

 Googleが研究を進める新しいソフトウェア開発アプローチは「AutoML(Auto Machine Learning)」という名称で呼ばれている。

 これまで、コードやアルゴリズムを生成するためには、人間の開発者の関与が必須だった。そのため時間もかかり、エラーも少なくなかった。その点に着目したGoogleは、人工知能にコードとアルゴリズムを生成させる構想を練り、それを実践に移した。またマシンラーニング技術を開発するには、最適な設計方法を選択する必要があるが、それを人間の技術者がつくるのは容易ではない。そこで人工知能を使って自動化してしまおうというのだ。

 Googleはすでに、言語および画像認識を学習するための最適な設計を、AutoMLで探し出す研究やテストを進めているという。テストの結果、画像認識分野では、AutoMLを使用した設計が専門家たちのそれに匹敵するレベルを見せ、言語翻訳では専門家を完全に凌駕するパフォーマンスを見せたという。

 すでに「AIを生むAI」は、Googleレンズなどアプリを含む、特定の業務を実行するマシンラーニングプログラムの開発に活用されているという。なおGoogleレンズは、対象となる商品や物体(例えば花など)の名前や関連情報を教えてくれるサービスだ。イベントのチラシを撮影すれば、予約サービスへ連結したり、日程を知らせてくれるなどの機能も持つ。

 Googleではすでに、親になる人工知能技術で子となるマシンラーニングプログラムを作る過程を何千回も繰り返してきたという。結果、認識機能が強化され、予期しない変数が補完されるなど、新たな学習効果が生まれているそうだ。

 今後、AutoMLが発展すれば、人々は特別な知識がなくともソフトウェアを簡単にオーダーメイドできるようになるかもしれない。例えば、プログラミング言語を全く知らない主婦が、家庭菜園の植物に水や肥料を効果的に与えるアプリをつくりたくなったとしよう。その場合、対象となる植物の種類をコンピュータに入力さえすれば、AutoMLがそれら植物に関する情報を収集し、水と肥料を与える時期を的確に知らせてくれるプログラムを自動的に生み出してくれるなどだ。

 サンダー・ピチャイCEOは、AutoMLの商用化の時期を問う質問に対して「今後5年ほどで、コーディングやコンピュータ言語を全く知らなくても、自分の目的に合わせたマシンラーニングプログラムを設計することができるようになる」と見通したことがある。

 AIによるAIの誕生が現実のものとなるのだろうか。Google関係者によれば、まだまだ課題は山積みなようだが…。一部、人間のエンジニアを越えるパフォーマンスを発揮し始めているという事実には、注意を傾けるべきかもしれない。

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