米国男性がインドの遺跡をドローンで撮影し逮捕される

ロボティア編集部2016年3月28日(月曜日)

 アメリカ人男性がドローンを使用し、インド・カジュラーホ寺院郡を無許可で撮影したとして警察に逮捕された。

 インドで考古学的調査と保護に勤めるアシスタント、ゴパル・クリシェン・シャルマ(Gopal Krishen Sharma)氏は、寺院の近くを飛んでいるドローンに気づき警察に通報。また、寺院近くのホテル屋上で機器を操縦している男を発見した。

「我々は急いでホテルに行き、ドローンとリモコンを所有する外国人を捕まえて、彼を地元警察に引き渡した。この件で彼は私たちに告訴される。私たちは専門家として、法律面や規則を考慮し、男性を告訴するべきだと考えている」(シャルマ氏)

ドローン逮捕
photo by hindustantimes.com

 男性は「なぜ許可なく世界遺産を撮影したのか」と聴取されたところ「ドローンでの撮影が禁止されているとは知らなかった(中略)禁止されているとの看板も無かった」と主張しているそうだ。シャルマ氏は「我々は彼らの撮影した物を確認し、内容を消去した後に彼らを釈放する」としている。

 安全・保全上の理由により、しかるべき許可を得ていない場合、インドではドローンの使用が禁止されている。2016年2月にはイタリア人とポーランド人が建造物をドローンで撮影したため逮捕されている。

カジュラーホ寺院郡
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 カジュラーホ寺院郡は、寺院の壁に官能的な彫刻やポーズ、古代文字が刻まれていて、海外観光客や新婚旅行先として人気が高い。ドローンを使用すれば、インド政府が保護している建造物を撮影する事も可能である。

カジュラーホ寺院郡2
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 9~10世紀頃のチャンデーラ朝時代に建てられたインドの寺院郡は、世界でも最も優れたエロティックアートの一例として評価されている。当初は84の寺院が建設されたと考えられているが、現存するのは25カ所のみである。

 なお、インドでは基本的に一般人のドローン使用は禁止されている。許可を申請すれば飛ばせる場合もあるそうだが、窓口や法整備が統一されおらず、許可が下りるのはケースバイケースというのが実情だそうだ。インド政府側は、農業分野などにおけるドローンの商業利用を進めるために、ドローン使用のガイドラインを整える用意をしているとの報道もある。

 一方、インドでは結婚式の記念撮影などに、ドローンをすでに使用してしまっている業者も少なくないそうだ。世界的な遺跡が散在するインドにとっては、観光客のドローン使用を含めたガイドラインの整備と周知が急務と言えるかもしれない。

(ロボティア編集部)