米・アップル(Apple)が、ロボット工学専門家である松岡陽子(ヨーキー・マツオカ=Yoky Matsuoka)氏を起用したと報じられた。松岡氏はかつて、Google-Xの立ち上げメンバーであり、スマート温度調節器を開発した「ネスト(Nest)」の最高技術責任者に就任していた。またツイッターに迎えられることになっていたが、命に関わる重病が発見され、オファーを辞退していた。アップルは松岡陽子氏の起用を認めた上で、今後はジェフ・ウィリアムスCOO(最高執行責任者)直属となり、ヘルスケアプロジェクトに取り組むとしている。
テニスプレーヤーを目指していた松岡氏は10代で渡米。カリフォルニア大学バークリー校を卒業した。けがでテニスを断念したが、その際にテニスをするロボットに興味を持ち、ロボットの世界に足を踏み入れた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得し、有名な多目的ロボットハンド「バレットハンド(Barrett hand)」の開発にも携わっていた。カーネギーメロン大学とワシントン大学で10年間ロボット工学の教授を務め、カーネギーメロン大学在職時の教え子であるマット・ロジャーズ(Matt Rogers)氏はネストの共同創業者でもある。
ワシントン大学で教員生活を終えた後、2009年に「Google-X」創設メンバーとなり、翌年2010年にはネストへ起用された。ネストでは、松岡氏は人間とテクノロジーがどう相互作用していくかを研究した。ネストは2014年にGoogleに買収された。
2007年に松岡氏は、神経科学とロボット工学を組み合わせた、障害者や脳卒中患者のリハビリを助ける神経ロボティクスに関わる研究で、米国では「天才賞」として知られる「マッカーサー・フェローシップ(MacArthur Fellowship)」賞を受賞している。
今後、松岡氏がAppleでどのような活躍をしていくのか注目されている。