アップル(Apple)が、自社の地図サービスを向上させるためドローンを本格的に利用する。これまで、間違いが多いと指摘されてきた同サービスだが、ドローンを使って精度を高める計画だ。
3日、海外各メディアは「アップルがロボットおよび情報収集の専門家チームをつくり、ドローンで道路情報を集め、現在の地図サービスをアップデートする予定だ」と報じた。ドローンは飛行しながら道路標識や道路の現状、工事現場などの情報を収集し、地図サービスを更新するデータを提供する役割を果たす。これまでアップルは、カメラおよびセンサーを搭載した車で情報を収集・地図に反映してきたが、精度が落ちるという指摘を受けてきた。
アップルは2012年に、地図アプリをリリース。iPhoneなどで使用されるGoogleマップをiOS用のアプリから締め出し、地図アプリ分野に進出している。ただ当初、空港の住所が誤っていたり、食料品店を病院と表示するなど、エラーが多発。ユーザーからの苦情を買った。以降、Googleとの地図アプリの競争で大きく遅れをとっていた。
アップルはドローンを使った地図作成を進めるため、昨年9月の段階で米国連邦航空局(FAA)に商業目的利用のためのドローン使用許可申請を行った。今年3月には、FAAからデータ収集、写真・映像撮影のための無人飛行システムの運用を承認されている。アップルはまた、このプロジェクトのために、アマゾンからドローン配送の専門家を迎え入れていることも報じられている。
アップルはさらに、自社の地図アプリの競争力強化のため、「建物の内部地図」機能を追加することにした。アップルが開発中の建物内部の地図機能は、Googleマップの建物内部の地図機能と同様のものだと予想される。
アップルは、建物の内部の地図機能を使用して、iPhoneユーザーが博物館、空港など人の往来が多い場所でも道案内できるようにする計画。この機能は、来年の発売を目標に開発中だと伝えられている。
建物の内部地図機能は、現在のアップルが保有する圧力センサ、GPS、Wi-FiやBluetoothなど、最新技術を組み合わせて開発される見込み。アップルは、2013年には室内位置追跡技術を開発するスタートアップのWi-Fiスラム(WifiSlam)を、昨年には屋内地図開発スタートアップであるインドアドットアイオー(Indoor.io)を買収している。
アップルは来年の導入を目指し、車両ナビゲーションの開発も進めている。海外メディアによれば、アップルは、アップルの車のナビゲーションを利用する運転者が運転中に道を変更した際に、より良い案内を提供できる方法を模索している。そのため、2013年には米ナビゲーション企業コヒーレントナビゲーション(Coherent Navigation)を買収。昨年10月にはBMWとフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツで使われている衛星ナビゲーションシステムを開発したことで知られるシニサ・ドゥレコビック(Sinisa Durekovic)を招聘している。
海外メディアは、アップルが地図アプリの開発に情熱を注ぐ理由として、大半のサービスアプリが、デジタルマップをベースにサービスを提供しているためだと分析している。「デジタルマップはアプリ開発者を誘致する上で重要なツール」「アップルの最近の動きは、地図アプリの分野で先を行くGoogleとの競争に役立つだろう」などと分析している。
photo by apple HP