韓国通信大手・KTがビックデータで感染症ウイルスの検疫強化

ビックデータ_マーズ
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 韓国ではビッグデータを活用した、政策的な取り組みが本格化している。2013年に誕生した未来創造科学部は、情報化振興院(NIA)とともに同年、「ビッグデータ分析活用センター」を創設するなど、ビッグデ ータ事業を強化している。

 なかでも韓国の大手通信事業者であるKT(旧Korea Telecom)は、多数のデータセンターのほか、数々の関連施設を保有しており、日々膨大なデータを収集・分析し、ビジネス価値の向上につなげている。

 韓国といえば、昨年のMERSコロナウイルス(MERS=マーズ)の流行が記憶に新しく、海外発ウイルスに対する防疫の重要性が議論されている。そのような海外の感染症が国内に流入されるのを防ぐため、KTは未来創造科学部、疾病管理本部とともに、ビッグデータを活用した「感染症ウイルス遮断システム」を開発中している。

 KTはデータを法務部が管理する出入国システムと連携させ、ウイルスの感染などで渡航が懸念される国家に訪れた際には、旅行日程を全てチェックし、帰国にあわせて疾病管理本部から、検疫のお知らせメッセージが配信されるよう、システムを組んでいる。

 入国審査場にたどり着く前に検疫を行うようになり、入国審査場でパスポートをスキャンすれば、検疫対象者という事実が公示される。疾病管理本部が行った既存の検疫システムでは、ウイルス感染者の最終渡航先しか把握しきれず、どこを経由したのかわからなかった。そのため、ブラジルから韓国へ帰国する際、ドイツを経由し入国した国内最初のジカウイルス感染者を特定できず、国内感染拡大の引き金となってしまった背景がある。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。