米国と中国に次いで、ロシアも水中ドローン(UVV)の開発に乗り出したという主張が出ている。米国と中国は魚雷型の水中ドローンを水中監視、魚雷調査などの用途に使用しようとしているが、ドローンに核兵器を搭載する案を進めていることが知られ注目を集めている。
米国のオンライン外交安保専門メディア「ワシントン・フリービーコン(WFB)」は、今月初め、国防総省関係者の言葉を引用して、ロシアが米国の港と沿岸都市を攻撃するための大規模な核兵器を搭載したドローン潜水艦を建造中だと報道した。同報道によると、ロシアが開発している水中ドローン(UUV)が実戦配備される場合、米海軍原子力ミサイル搭載潜水艦が利用しているジョージア州キングス湾や、ワシントン州ピュージェット湾を吹き飛ばすほどの威力を持った核弾頭を搭載するとしている。
米国政府は、ロシアの核兵器を搭載した水中ドローンの詳細を機密情報として取り扱っている。しかし、WFBはこの問題をよく知る関係者の言葉を引用して、ロシアの水中ドローン開発計画のコードネームは「キャニオン」であり、プーチン大統領の核兵器近代化計画の明白な証拠と伝えた。複数の米国防総省関係者は、「キャニオンプログラムは、数十メガトンに至るサイズの核弾頭で武装し、自律潜水艦による攻撃方法を構想したもの」と予想している。
ロシアが開発を進めているのは、魚雷型、もしくは小型潜水艇レベルの水中ドローンが有力だとされている。プーチン大統領は、去る7月26日からロシア・バルチースクで開かれた海軍記念式典で新しい海洋ドクトリンを発表。新型水中ドローンの潜水艦を示唆した。同ドクトリンは、水中ドローンを含めた革新的な技術の開発を求めた。すでにロシアの武器開発者は、それら技術開発に乗り出しているものとみられている。
ロシア中央研究所(KURS)の所長は去る6月、国営のスプートニクニュースに「UUAを開発している最中」とし「私たちの研究所は遠隔操作、水中ドローンを含めた自律運行分野で多数の新しい開発を完了した」と述べている。
ロシアは米国を圧迫するために、核兵器近代化計画を進めている。そのため2010年に戦略兵器制限交渉(New START)協定に基づいて、米露内の核兵器追加削減をしようとするオバマ政権の努力は、座礁の危機を迎えている。同協定は、米露の戦略ミサイルと爆撃機の数を700基、実戦配備する戦略弾頭を1550個に制限しようとするものだ。
すでに、両国の新しい核兵器追加削減計画は、ロシアのクリミア併合と同ウクライナ地域の政情不安定などの要因により、軌道を逸脱した。1987年にゴルバチョフ大統領とロナルド・レーガン米大統領が、核弾頭装着用の中距離および短距離地上発射ミサイルを廃棄することに合意した条約は遵守されていない。
旧ソ連およびロシア問題の専門家であるジャック・カラーベリー氏(元米中央情報局、現アナリスト)は「キャニオンは、欧米の利害関係に対抗するため、ロシア軍の能力を発展させる攻撃的かつ革新的なアプローチの例」と評価し、「米国や欧州の海軍施設、沿岸都市に多大な損傷を加えようとする試み」とも分析している。米国戦略司令部の退役司令官であるロバート・ケラーも「ロシアの水中核攻撃ロボット開発は、欧米にとって頭の痛い戦略核兵器増強の一環である」と主張した。
一方で、日本の外交安保専門メディア「ザ・ディプロマット」は、実際に試験段階に入った試作品がないため実用化までには時間がかかるだろうと予測している。技術が進んでいるアメリカでさえ、バージニア級原子力潜水艦で水中ドローンを発進させ、回収できたのがつい先日の7月初めだということだ。
空中ドローン市場を完全に制覇した米国は、自律プラグラムで動くロボット艦艇と水中ドローンを官民合同で開発し、ライバルとの技術格差を広げている。経済難で財政資源が苦しいロシアが、キャニオンプログラムを最後まで全うし核爆弾を搭載した水中ドローンを実用段階まで開発できるかどうかは未知数である。
(ロボティア編集部)