人工知能が審査するAI美人コンテスト...開催の本当の目的とは!?

ロボティア編集部2016年7月24日(日曜日)

 人間の老化について専門に研究する企業・ユースラボラトリー(YouthLaboratories、ロシア・モスクワ所在)は、2015年に人工知能が審査する美人コンテスト「第一回ビューティーAI(Beauty.AI)」を開催したことがある。

 参加者が専用モバイルアプリを通じて「Beauty.AI」に顔写真、年齢、性別、およびその他の身体的特徴などを投稿すると、人工知能がそのデータを解析し、順位をつけるというものだ。

 ユースラボラトリーは、その自社のソフトウエアに12000ドルの投資を誘致。ヨーロッパやアメリカなど、複数の医療関連企業と契約を締結した。なお、設立者のアレクセイ・セブチョフ(Alexey Shevtsov)氏は、開催されたAI美人コンテストについて、“副次的な課題”に過ぎないと話しているという。というのも、同企業の本当の目標は、人間の老化問題を解決すること。美人コンテストは、その試みのひとつというわけだ。

「私たちの会社は、老化バイオマーカー(biomarker)の識別を目的とした皮膚のデジタル画像だけでなく、健康を総合的に分析するマシンラーニング(machine learning)技術の開発に特化している」(セブチョフ氏)

 ユースラボラトリーが美人コンテストを開催したのには理由がある。まず彼らは、顔写真から人間の健康上の状況を評価するアプリを作ろうとした。ちょうど、大手化粧品会社と契約を締結した状況で、それらのアプリの需要が高まると確信していという。人工知能の性能向上に必要な人の顔画像のデータを集めるのが、AI美人コンテストの真の理由だった。

 なお、AI美人コンテストには3つのAIが使用された。まずひとつが、スマートフォン用アプリ「リンクル(RYNKL)」。これは、年齢別に、ユーザーの顔のしわを分析するのに使われた。ふたつ目は「マディス(MADIS=ModelAllianceDigitalIntelligenceScout)。これは、参加者の顔と有名俳優・女優・モデルの顔と輪郭が似ているか比較するのに利用された。3番目は「対称性比較AI」。人間の顔のほとんどは左右が非対称となっているが、同AIはその構造を評価するように開発された。

 ユースラボラトリーは、2016年の春に2回目となるAI美人コンテストをスタートさせている。希望する人々は誰でも参加することができるそうで、2016年8月には、人工知能が新しい勝者を選ぶ予定となっている。

 現在、このユースラボラトリーはヨーロッパの多くの病院、大手化粧品会社をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア地域の研究会社とも提携・協力関係にある。今後は、顔から人間の健康状態を判断する方法を、人工知能に学習させる計画だ。

「例えばダークサークル(目下のクマ)は腎臓の問題を、不規則な色素沈着はメラノーマ(ほくろのがん)の可能性を、薄い、また血の気のない唇は貧血の可能性を疑うことができる」(セブチョフ氏)

 ユースラボラトリーはまた、モスクワの大規模な民間病院と共同で、病気認識アプリを開発するために協議中だという。