側近が「国連には従わない」と発言...どうなる!?トランプ次期大統領とキラーロボット

ロボティア編集部2016年12月27日(火曜日)

 米政治専門メディア「ポリティコ」は25日、「トランプ米国次期大統領は、人工知能で動く“キラーロボット”の導入について、どうしていくか決めなければならない瞬間が来るだろう」と指摘した。

 中国は12月12〜16日にスイス・ジュネーブで開催された国連会議で、国連安全保障理事会常任理事国のなかで初めて、キラーロボットの規制に賛成した。米中は、国連の特定の通常兵器禁止条約(CCW)を通じて、キラーロボットの問題を研究する専門家会議を設置することで合意したが、ロシアは参加をしぶっている。キラーロボットの開発が進んでいるロシアとしては、技術公開と規制を避けたいところである。

 ロシアは昨年11月、周辺6㎞内の人と物体を追跡・狙撃できるキラーロボットを開発し、国境に配置した。このロボットのターゲットは、まだ人ではなく「偵察用ドローン」にのみ限定されている。一方、イスラエルは密かに敵に接近・殺傷することができる約12㎏の小型キラーロボットを開発した。

 米国防総省は、般的なドローンに人工知能を植えターゲットを追跡させるのにも成功した。ニューヨークタイムズは昨年10月、「米国防総省が人工知能開発を国防戦略の中核に設定した」と報道している。今年4月には国連から「2017年には人工知能を持つキラーロボット開発と関連した、技術的な準備が終わるだろう」とのコメントも発表されている。

 キラーロボットの開発は倫理的な議論を生んでいる。キラーロボットが女性・子供を含む、民間人を無差別に殺傷する可能性があるというものだ。独裁政権やテロリストが民族浄化の手段としてキラーロボットを悪用することも考えられる。このため、スティーヴン・ホーキング博ら著名人1000人は昨年7月、人工知能を搭載したキラーロボットの開発に反対する声明を発表している。イーロン・マスク氏は「キラーロボットの開発は悪魔を召喚するだろう」とした。

 一方、推進派からは「国際法コンプライアンスの問題であれば、コンピュータが人間よりもよく順守する」との声も。イラクとアフガニスタン戦争などで、民間人の死傷者が数多く出た理由のほとんどは、人間の誤った判断を下したためだったというのだ。また、戦闘兵をロボットに置き換え、ロボット同士が戦うことになれば、人命被害を最小限に抑えることができるとも主張している。

 いずれにせよ、それら議論が活発に行われているところをみるに、キラーロボットの登場は時間の問題だと考えられる。トランプ氏のブレーンであるヘリテージ財団のスティーブン・グローブス(Steven Groves)研究員は、「米国は、国連で推進されている(キラーロボット)禁止の動きに従わない。競争国が同じ武器を開発している。なぜ(キラーロボット)の開発を中断しなければならない」との私見をポリティコに伝えている。彼は、米国が競争国との武器競争で、最も確実な優位を持つ部分が「キラーロボット」だとも主張している。今後、トランプ大統領がキラーロボットに対してどのような政策を掲げるのか、注目したい。

photo by Мария СЮМАК