米企業がサービス提供...倉庫用ロボットはレンタルが合理的!?

ロボティア編集部2016年8月26日(金曜日)

 物流業界は、低賃金や過酷な労働環境のせいで人手不足が深刻化し、厳しい経営環境にある。一方、受発注から配送、保管方法や在庫状況の把握など、あらゆる作業において、効率化、迅速化を日々求められている。 

 そんな実情を背景にして、従来のシステムに革新が起こりつつある。例えば、米ロサンゼルスに拠点を構えるスタートアップ企業「インビアロボティクス(InVia Robotics)」が、物流倉庫用ロボットを公開した。 

 公開されたロボットはふたつのロボット。はさみ型のリフトで商品を取ってくるロボット「グラビット(GrabIt)」と、物をベルトコンベアや包装作業台まで移動させるロボット「トランジット(TransIt)」だ。 

 どちらもロボット本体はキャスターで移動する。まず、「グラビット」が棚の高さに合わせてはさみ型リフトを調節しながら、棚にある商品を吸着パッドで吸いよせる。この吸着パッドは、最大約14キロまで吸い寄せることができる。吸着パッドによって取り出された商品は、そのままグレビットのリフトにのせられ、フロア内を移動する。それをさらに「トランジット」が受け取り、包装作業をする作業台やベルトコンベアまで運んでくれるという仕組みである。 

 インビア社はでは、このロボットを使った画期的なサービスを導入している。ロボットを購入せずとも物流倉庫を自動化できるように、レンタルサービスを提供しているのだ。自動化にかかるコストや、管理における手間などをケアしながら、中小企業が大手企業に太刀打ちできるようにするためである。 

 同社はレンタルサービスの強みをいくつか説明している。まず、もとの物流倉庫の棚や床スペースを変更せずにそのまま使用できるという点。結果、倉庫の改修や機器の購入など、設備投資にともなう多額の費用がかからない。 

 従来の物流倉庫管理システム(WMS)や ERP(Enterprise Resource Planning)システムと効果的に連動できることから、物流倉庫の自動化を手軽に始めることができる。さらにインビアロボティクスは、曜日やシーズンによる商品需要の波が激しく、必要人員数の増減に最も影響していたピッキング業務を機械化することで、人が携わる業務部分を平準化することに成功した。 

 需要に合わせて、多忙期にはロボット設置台数を増やし、オフシーズンには減らすことでコスト調整をはかる。わざわざ点検やメンテナンスをおこなわずとも、いつでも必要な時にロボットを使用できるのも大きな強みだ。

 ロボット保管のために、スペースを確保する必要もないので、倉庫規模もそのまま。 今後も高い需要が見込まれる、産業用ロボットの「レンタル方式」。それだけに、ロボットのラインアップ拡充はもちろん、ロボット活用を支援する利便性の高いサービスも、注目を集めそうだ。