英ロボット倫理団体のロビー活動「問題は頭の悪いロボット」

ロボット_倫理
photo by Foundation for Responsible Robotics HP

 英ロンドンで昨年、ロボット工学の研究者やエンジニア、法学者22人が、ロボットをめぐる政策提言団体「責任を果たすロボット財団(Foundation for Responsible Robotics)」を設立した。ロボットが生活の隅々まで浸透する大変革が起きつつあるなかで、同団体は政府や企業に対してその倫理的利用について勧告・ロビー活動を展開している。

 財団の共同設立者はオランダ・トウエンテ大学テクノロジー倫理学助教授のアイミー・ヴァン・ウィンスバーグ(Aimee van Wynsberghe)氏と英シェフィールド大学ロボット工学教授のノエル・シャーキー(Noel Sharkey)氏。いずれも有名なロボット研究者だ。同団体は、ロボットに興味のある人なら、ロボット工学者、技術者、社会学者、人類学者、法律家、公務員、製造者など分野を問わず財団に参加して欲しいと呼びかけている。

 シャーキー氏はIBTimes UKのインタビューで「ロボットはゆっくりと進歩してきたが、この2年で急激な進歩を遂げた。我々が考えたよりもずっと多くの仕事をできるようになった。しかし誰もプライバシーと倫理の問題を考えていない」と指摘。「AIが世界を乗っ取るかどうか。我々はそういうことに関心はない。むしろ、ロボットが世界をどう襲うのか、そして、それに備えておくことに関心がある。だから、(世界を襲う恐れのある)バカなロボットにより注目している」とコメントしている。

 シャーキー氏とウィンスバーグ氏の主な懸念は、ロボットが賢くなりすぎて我々を支配するようになることではなく、バカすぎて大切な仕事を任せられないということだ。そのため、人間は支配権をロボットに譲ってはいけないのだという。

 ウィンスバーグ氏は、「我々は社会にロボットが組み込まれている以上、ロボットの責任の問題に緊急に取り組む必要がある。ロボットを作り、使用している人間と同じだけの責任をロボットは負う。これからのロボットの仕事は、目先の利益ではなく、人類に恩恵をもたらすためのものにすべきだ(中略)ロボット政策は公正と正義という倫理的・社会的基準をクリアしているべき」と強調する。

 日本や欧州では、在宅の高齢者が事故や病気に見舞われていないかチェックする介護ロボットが、驚くほどのスピードで開発されている。高齢者をモニターするカメラを搭載したロボットは、高齢者が自宅で自立した生活を送り、家族に安心感を与えるために利用される。だが、これらのロボットは高齢者のプライバシーを侵すリスクともなる。例えば、ロボットによる監視は、トイレなど見られたくない場所にいる高齢者のプライバシーを侵害する恐れがあるからだ。