韓国・未来創造科学部と英国内閣事務局は9月12日、ロンドンでICT技術協力強化のための「第2回韓-英ICT政策フォーラム」を開催した。
フォーラムには、韓国側未来部のチェ・ジェユ次官、英国政府の技術顧問であるリアム・マックスウェル氏(Liam Maxwell)を筆頭に、政府および民間の専門家が参加。ICT新産業分野のおける協力成果を報告した。両国首脳会談(2013年11月)をきっかけに始まったICT政策フォーラムは2回目を迎え、実質、政府間の政策交流を超えた民間同士の協力窓口へと発展している。
特に英国は現在、新任首相就任や組閣などの政治的変化の渦中にある。それにもかかわらず同フォーラムが開催されたことは、両国のICT協力関係における確固たる信頼関係を物語る。
未来部と内閣事務局はこれまでにも、両国の知能情報技術政策と動向、民間の活用事例などを議論しながら、5GやIoT、フィンテック、人工知能など、先端ICT分野の政策及び技術動向を共有し、協力の基盤づくりを行ってきた。また、韓国の情報通信技術振興センター(IITP)と英サリー大学(イングランド・サリー州ギルフォード)に設置された5Gイノベーション・センター(5G Innovation Center)は、次世代移動通信システムである、5G無線技術市場を開拓するために了解覚書(MOU)も締結している。これを踏まえて、平昌冬季五輪などにむけ、5Gテストサービス(360°VRなど)の実現のためのテストベッド(試験用プラットフォーム)の構築・標準化の協力も進められる予定だ。
加えて、チェ次官はロンドンにあるディープマインド本社を訪問し、デミス・ハサビス氏と面談した。デミス・ハサビス氏は今年3月、韓国のプロ囲碁棋士・李世ドル(イ・セドル)九段との対局した人工知能「アルファ碁(AlphaGo)」を開発した人物。現在、Google(グーグル)の子会社である英・ディープマインド社の最高経営者(CEO)である。
韓国側は自身が開催する国際カンファレンス「知能情報技術研究院(AIRI)」にデミス氏を招待するなど、知能情報技術関連産業の育成に向けた協力推進を提案した。また、両国は代表的なスマートシティサービスを、相手国の都市で相互テストすることに合意したほか、今後両国の機関および企業各社が、スマートシティモデルケースの適用段階から緊密に協力することにした。
フィンテック分野では、韓国のICT技術とイギリスの金融インフラという両国のメリットを活用するグローバル協力策を議論。韓国側は、規制緩和政策のための交流および、フィンテック企業のために、金融分野のオープンAPIを共有することを提案した。
加えて、国民の安全な暮らしのため、災害時の通信インフラ構築においての協力体制も強化される見通しだ。英韓の災害時における協力は、音声分野の標準化(2016年3月)や、国際会議議長団(3GPPの災害通信特別作業班)の進出など、成果がすでに報告されている。今回のフォーラムでは、LTEを活用した災害時の政策やモデル事業の結果を共有しながら、映像・データなどの付加機能に対する標準化協力を強化していくことにした。
第2回韓-英ICT政策フォーラムを通じて、チェ次官は「ICTは、人類が直面した様々な問題の解決のための中核的な手段だ。 相互の発展に向けて、ICT新産業分野で両国の協力関係をさらに広げていく」と強調している。
一方、未来創造科学部は2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪に合わせてイギリスの内閣事務局をはじめとした政府や企業関係者たちを招待し、第3回韓-英ICT政策フォーラムを開催する予定だ。