教育界に朗報!? ロンドン小学校に「AI数学教師」が登場…インド企業開発

ロボティア編集部2016年12月28日(水曜日)

 英ロンドンにあるペイク小学校では、人工知能が教師して活躍中。学生たちに数学を教えており、来年から正規カリキュラムとなる予定だ。英メディア・ガーディアンなどが詳細を報じた

 ペイク小学校で活躍する人工知能教師は、インドの企業が開発したもの。インド企業・サードスペースラーニング(Third Space Learning)はこれまで、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(以下、UCL)の研究チームとともに、史上初となる人工知能教師を開発してきた。

 これまでに、約10万件のチュートリアルデータが人工知能に入力された。そのデータは、実際の学習過程を通じて収集された情報だ。 300人の個人指導教師を採用後、学生と1対1の学習プロセスを行い、その成功事例を蓄積した。そしてその情報を、人工知能に与え、学習するようにした。

 人間のような学習指導方法を身につけた人工知能には、各学生の状況に応じて適切に対話し、個人指導を行う能力が備わっている。サードスペースラーニングのトム・フーパー(Tom Hooper)CEOは、「チュートリアル情報が増えるにつれ、AIの能力も向上し続けている」と解説している。

 学習を指導する方法は、マシンラーニング(machine learning)で生成されている。これは、膨大なデータを分析し将来予測を一部可能にする技術である。現在、学生に関する膨大な量のデータを収集・分析され、人工知能の指導能力が継続的に高められている。

 開発の過程で試行錯誤もあった。例えば、人工知能の能力が優れているため、学生の理解範囲より先行してしまうという事例が頻繁に発生した。ただ現在では、学生の傾向、思考過程、能力などを綿密に分析し、適切な会話を続けていくことができる段階にまで発展したという。

 開発に参加するUCLのローズ・ロクキン(Rose Luckin)教授は、「人と人工知能が学習過程で自然な調和を成すこと」が目標であり、 「これまでの研究結果では、人工知能教師の役割は驚くほど高い」と自己評価している。

 ロクキン教授が人工知能教師に期待するのは、数学に興味を感じていない学生に人工知能教師が指導を行うことができるという点だ。特にインド、スリランカなどの学生にとって、大きな力になると見込んでいる。

「環境、もしくは他の理由により、学習に対する自信が欠如している学生を対象に補充学習が可能であり、学習を放棄する学生を減らしていくことができる」(ロクキン教授)

 現在、ペイク小学校以外の学校も、人工知能教師には大きな関心を寄せているという。テスト学習に参加した学生のひとりは「これまでの数学に恐怖心を抱いていたが、学習後にその恐怖が消えた」と述べている。また教育関係者たちは、人工知能教師の能力が向上すれば、教育界の大きな話題になると見込んでいる。

photo by thirdspacelearning.com