人工知能で癌治療を...ディープマインドとロンドン大学が提携

ロボティア編集部2016年9月23日(金曜日)

 IT企業が開発している人工知能(AI)を、医療分野に応用しようとする動きが増えはじめている。 Googleが買収した人工知能スタートアップ・ディープマインドは、英ロンドン大学病院と提携。癌治療にマシンラーニングを導入する計画だという。

 ディープマインドの人工知能が導入されるのは、頭と首に発生する頭頸部がんの治療。頭頸部がんのひとつである口腔癌は、男性75人に1人、女性150人のうち1人の割合で発症することで知られている。

 頭頸部がんの治療には、放射線治療が用いられる。ただ癌細胞の周囲には、健康な組織があるため、医師は放射線をあてる部位、方向、量、回数を、事前に綿密に計画しなければならない。

 治療計画を立てる際、癌細胞周囲の組織画像やデータなどを、放射線治療機器に入力して分析することになるのだが、現在の技術では治療計画を立てるのに平均4時間がかかるという。また構造が複雑な鼻腔癌の治療計画を立て作業は、非常に難易度が高いそうだ。

 しかし、人工知能を利用すれば、過去700までの事例を分析し、放射線治療計画を効率的に作成できるようになるという。計画作成にかかる時間は1時間にまで減らすことができる。もちろん、どの部分をどのように調査するか、また治療計画の決定権は人工知能ではなく医師にある。

 ロンドン大学病院側は、マシンラーニングが癌細胞に感染した組織と健康な組織を自動的に区分して、治療計画の作成時間を短縮できようになると期待する。また、放射線療法士などが、残り時間を患者の治療・研究に活用できるとし、人工知能の導入を肯定的に捉えている。