AI導入企業ランキング…欧米より中国・インド勢が先行

ロボティア編集部2017年1月31日(火曜日)

 人工知能(AI)の活用度で、米国や欧州主要各国の企業よりも、中国およびインド企業が上回っているという調査結果が発表された。

 1月28日、コンサルティング企業・インフォシスは、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、中国、インドら7カ国の企業1600社の高位決済権者を対象に、AI技術の導入および発展レベルについてアンケート調査を実施。結果、AI成熟レベルで中国が56%で1位。インド(55%)が僅差で2位となった。なおドイツは53%で3位、米国は46%で4位だった。英国とフランスはそれぞれ44%、オーストラリアは40%となった。

 インフォシスが1月に行われた世界経済フォーラムで発表した人工知能関連のレポートによると、業界別のAI成熟度では、薬学・生命科学分野が58%で最も高く、自動車・航空宇宙(54%)、通信(52%)、エネルギー(51%)、製造業(50%)、日用消費財(50%)、ヘルスケア(50%)、金融サービス(47%)、小売(44%)などの順となった。

 なお企業側は、AIが社会的(70%)、経済的(76%)に肯定的な変化を引き起こすと予測しており、AIが企業の戦略を成功させるために重要であるという考えには76%が同意している。

 現在、AI技術を使用したり、導入する計画がある企業群では、2020年までにAIを通じて売上高を39%増やし、コストを37%削減することができるとの指摘もあった。企業側は、AI技術について、自動化(46%)、コストの削減(44%)、生産性の向上(44%)、売上高の増加(39%)などのメリットに繋がると答えている。

 回答者たちは、人工知能が企業だけでなく消費者にもメリットが高いと考えている。AIが迅速かつ具体的に消費者のニーズに対応し(50%)、より良いカスタムサービス(42%)を提供できるとした。

 一方、現在AIのメリットをフル活用している企業は10%に過ぎなかった。 AIを導入する計画がないと回答した企業は9%であった。

 AI導入の障壁としては、変化に対する従業員の恐怖(54%)、文化的受容の問題(47%)、AIを管理する内部能力の不足(54%)などが挙げられた。一方、AI技術による代替された従業員を再配置したり、再教育すると回答した企業が80%に達する点は、特筆に値すべきだとインフォシスは指摘している。

 全面的、もしくは部分的にAI技術を採用した企業は、昨年これらの技術に平均670万ドルを投資している。企業側がAI技術を採用した主な分野としては、ビッグデータの自動化(65%)、予測分析(54%)、マシンラーニング(51%)などが挙げられた。

 なお企業側はAIを導入した環境で学び、自ら考え、問題を効果的に克服することができる従業員を求めていることも明らかになった。そのための重要な素養としては、コンピュータ工学(72%)、経営(47%)、数学(45%)であると、企業は答えている。

 インフォシスは「(企業の)差別化の手段としてではなく、遅れをとらないために人工知能の活用を検討しなければならない」と強調している。また、中国およびインド企業が、米国や欧州各国企業よりAIの活用で先んじているという結果について、中国とインドが既存のシステムや処理すべき業務プロセスが少なく、AI導入や統合が比較的容易であるためと分析している。

photo by Asitimes