人工知能を教師に...発展途上国で進むAIプロジェクト・YaNetu

ロボティア編集部2016年9月26日(月曜日)

人間の知能をコンピュータで再現する人工知能は、21世紀の技術の中で、もっとも重要なもののひとつと注目されている。人工知能関連の議論は後を絶たない。人間を追い越し、最終的に人類を危機に陥れるという懐疑的な論調も多い。そんななか、人工知能を活かし、発展途上国の教育に役立てようという動きがある。

 米国のロボット科学者ベン・ゲーツェル(Ben Goertzel)博士は、エチオピアの首都アディスアベバで行われている、タブレットを利用した人工知能プロジェクト「ヤネト(YaNetu)」に参加している人物だ。博士たちが進めるプロジェクトの目的は、子供の教育に人工知能を活用するというものである。

 アフリカなどの発展途上国は教師の数が少ないだけでなく、教師自身も十分な教育を受けていない場合が多い。教育用の人工知能は、そのような環境でパフォーマンス発揮すると期待されている。

 同プロジェクトでは、タブレットが子供の家庭教師の役割を果たす。人工知能は、発展途上国の子供たちに数学や文学、英語、生物学など、様々な知識と教養を提供する。もちろん、最新の技術も導入されていて、子供たちはインタラクティブ(双方向)型の教育を受けることができる。

 ゲーツェル博士は、人工知能こそ大きな変化をもたらすテクノロジーと強調する。その理由として、人工知能が人間よりも速い速度でものをつくることができるという点を挙げる。彼は今後、人工知能が人類の生活を豊かに発展させることができる可能性があり、そのようなメリットがアフリカの子供たちにも還元されるだろうと期待する。

 人工知能は、社会を人間とロボットが共存するものへと変化させる橋渡しの役割を果たす。人間の生活支援、老人の生活補助、環境問題の解決、医療補助など多方面で活用できる可能性がある。